猫と人間の狭間で (1/1)
短編『猫の恋』の番外編です。

蜜柑:トラの飼い主。
トラ:茶トラの飼い猫。


それは冷たく寒い真冬の夜。まだ小さかった僕は何日も凍えていて、もう鳴く力も残っていなかった。

薄暗い街灯の下で横たわった身体はもう感覚がなくて、霞む景色をぼーっと見ていた。

このまま目を瞑って消えるのかなと思ったときに、温かい何かが僕を包んで。

僕は蜜柑さん家の猫になった。

-

「聞いてよぉ、トラぁ。もうやだぁ」

僕のお腹のモフモフに顔を埋めながら泣いているこの酔っ払いは、僕の最愛の飼い主、蜜柑さんだ。

人間の世の中は色々難しいことが多いらしく、蜜柑さんはたまにお酒を飲んでは僕をモフモフして心を癒やしている。

そんなにモフられると、僕が念入りに毛づくろいした自慢の腹毛がボサボサになるんだけど…と思いつつ、蜜柑さんを癒せるなら仕方ないと僕は大人しく受け入れる。

こんな夜は、猫じゃなくて人間なら、もっと蜜柑さんを癒やしてあげられるのに。

そう頭によぎって慌てて頭を左右に振った。

あの凍える夜に、僕は一生分の幸せを蜜柑さんからもらった。これ以上望むものなどなかったはずなのに。

気まぐれに僕を人間に変える神様のせいで、知らない方が良かった幸せまで知ってしまった僕は、少し欲張りになっている。

-

「あれぇ…? トラだぁ…、また人間になってるぅ…」

「蜜柑さんは、また酔っぱらいだね」

「やだなぁ…!酔ってないですよぉ、ぜんぜん!」

そう言いながら、蜜柑さんは空きビール缶を胸に抱えて床に寝転がってご機嫌で笑っている。どう見ても見事な酔っ払いだ。

「そんな床で転がってたら、風邪引くよ。ほら、ベッド行こ」

そう言って蜜柑さんを抱き上げる。ベッドまで運んで身体を離そうとしたところで、蜜柑さんが僕の首に腕を回して抱きついた。

「トラ…ぁ。だいすき…」

「はいはい。僕も大好きですから、寝ましょうね」

「ちがう…よぉ…!あたしはぁ、猫のトラも、だいすきだけど、今のはそのだいすきじゃないの。あたしは…、ちゃんとトラを…」

そう言って、蜜柑さんは僕にキスをした。柔らかい唇の感触にドキッとしたのも束の間、濡れた舌が口内に入ってきて僕の舌に絡まって、大人のキスが始まる。

こんな快楽に抗う術など、僕は知らない。

-

「トラ…っ、そこ…は、だめ…っ」

蜜柑さんを腕の中に抱き締めながら、2本の指を挿れてナカを掻き混ぜる。欲張りだと言いながら、溶けるように熱いこのナカに挿入るのを想像して簡単に元気になってしまう下半身。

本当に神様はひどい。こんな日に人間にされたら、僕は蜜柑さんを甘やかすのを口実に、執拗に抱いてしまうじゃないか。

「やぁあ…ッ、トラ…っ!ゆ、指、そんな動かしたら、だめだってば…ぁっ!」

「でもほら、さっきからどんどん濡れて、もうここはこんなにトロトロだけど」

そう言いながら、クチュ、クチュ、と厭らしい音をわざと鳴らすと、蜜柑さんが顔を赤くする。

「ち、違うの、これは…!トラが…っ」

そう言い訳しながらも、酔いがまだ残った身体を封じるのは簡単で、蜜柑さんはただ僕の愛撫を受け入れるしかなかった。

「ひぁああ…ッ!だめ…っ、イ、イっちゃう…ッ!ああっ、あぁあああーー…ッ!」

切羽詰まった声を上げて蜜柑さんが達する。痛いほど勃起した下半身は猫の時よりも猛々しく情欲的で、僕は抑えきれない蜜柑さんへの想いを、そのまま押し付けた。

「イったばかりなのにごめんね、蜜柑さん」

「ひぁ…!?あっ、あぁ…ん…ッ!」

脚を開き、蜜柑さんのナカに自身を埋めていく。腰を引き寄せ、奥まで自身で満たすと、達したばかりでキュウキュウと包んでくるナカはすごく熱くて、溶けてしまいそうだった。

「すご…」

「ま、待って…、おっきいの、苦し…」

「うん。ゆっくり、ね」

「ん…っ、み、耳、舐めちゃ、やだ…!」

「耳、弱いよね。可愛い…」

「待って…、舐めながら、動いちゃ…っ、だめ…っ!」

ビクビクと身体を震わせキツく締め付けてくるナカに抗いながら、僕はゆっくり腰を動かす。欲情して真っ白になりそうな頭をなんとか理性で制して、角度を変えながら蜜柑さんの様子を伺う。

「んん…っ、ト、トラ…っ、あぁっ、あん…ッ!」

「ん…。ここ、好き?」

「や、あ…ッ、違っ、それは…っ、待って…ッ」

咄嗟に蜜柑さんが身体を捩らせ、快感から逃げようとする。僕は強引に蜜柑さんを引き寄せると、腰を掴んだまま集中的にソコを突いた。

「ふぁあ…っ、ダメダメ…ッ、そ、そんな擦っちゃ…ッ!イ、イっちゃう…ッ!あっ、もうっ、あぁあああーー…ッ!」

切羽詰まった蜜柑さんの喘ぎ声に煽られて、僕は蜜柑さんをそのまま絶頂に追い込んだ。

-

「ハァ…っ、あ…っ、んん…」

絶頂の余韻に息を整える蜜柑さん。紅潮した頬を優しく手で包み、溢れ出しそうな想いを抑えながら眺める。

こうやって一時的に人間に変身できても、僕は猫で、蜜柑さんの隣でずっと一緒に生きていくことはできない。

「ト…ラ…?」

力なく開いた瞼の奥で心配そうに見上げる瞳と目が合って、僕は感情を隠して微笑んだ。

「身体、大丈夫?蜜柑さん」

「なんで、泣いてるの…、トラ…?」

「え、泣いてないよ。気持ち良くて泣いちゃったのは蜜柑さんでしょ」

「誤魔化してもだめだよ。あたしは、トラのことなら、なんでもわかるんだから」

そう言って、蜜柑さんが僕の髪に伸ばし、クシャ、クシャっと乱す。僕が猫のときに撫でてくるみたいに。

「ふふ。大したことじゃないよ。蜜柑さんのことが大好きすぎて、ね」

そう言って、蜜柑さんに優しくキスをして、あの雨の夜に僕を抱きしめてくれた温もりを抱きしめる。

神様の気まぐれならば…
願わくは、幸せすぎるこの時間を、少しでも長く。

本編→猫の恋猫の恋U

End
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