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新学期、あたしたちは、ものすごい噂になっていた。

原因は、あの花火大会。
気づかない間に目撃されていたようで、及川くんが見知らぬ女の子を連れて仲良さそうに歩いていたと、夏休みの間に噂が広まっていたらしい。

しかも2学期に学校に来てみたら、それが、"見知らぬ女の子"ではなく、学年一終わってる女子で有名だったあたしだと発覚したことが、さらに噂を広げていた。

「いやー、予想はしていたけど、ここまでとは…。さすがだねぇ、蜜柑ちゃん」

当の本人はあたしのせいかのように、他人事な感心をしている。しかし、相手がこの人でなければ、ここまで噂されることはなかったに違いない。

しかも、噂というのは怖いもので、抱きあっていたとか、キスをしていたとか、そんな尾びれまで付いているようだった。

「まぁ、彼女だって説明する手間も省けたし、上出来でしょ」

「及川くん…、もしかしてこうなるのわかってて花火大会誘った…?」

「ここまでとは思わなかったけど、まぁ…普通 噂にはなるよね」

悪びれる様子もなく、にこっと笑う。
ホントに、この人は…

一学期まで、学年一終わってる女子として過ごしていたあたしには、そんな普通な感覚はなかったのだった。
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