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「緑野がそんな上の空になるなんて、あの質問の答えでも出た?」

「え…っ」

鈴木くんが優しい表情であたしを見る。

答えは、出たといえば、出た。
でも、この答えにはもう意味がない。

及川くんは他の女の子を選んだんだから。

なんでもっと早く自覚しなかったんだろう…?

そんなことを繰り返し考えるのはもう苦痛で、いっそ忘れてしまいたい。

「緑野…?なんでそんな泣きそうな顔して…」

いつも真っ直ぐあたしを好きでいてくれる鈴木くん。そのうちきっと、あたしも好きになれる。

鈴木くんに甘えても許されるだろうか…

「あたし、鈴木くんが想ってくれるのと同じぐらい、鈴木くんのこと好きになれるかな…」

「え…っ」

鈴木くんの動きが止まる。

「何それ。もしかして、俺を選ぶってこと…?」

そう確認する鈴木くんに、あたしは頷いた。言葉で返せるほどの決意がない自分に、ずるさを感じた。

「なるよ。ちゃんと好きにさせる」

真っ直ぐあたしを見て、強い言葉で鈴木くんがそう言った。後悔とか罪悪感とか、色んな気持ちが我慢しきれずに涙が溢れた。

そんなあたしの頬に鈴木くんの手の平が触れて、指で優しく涙をぬぐってくれる。

「緑野…、目、瞑って…」

キスの気配がした。
あたしは静かに、瞳を閉じた。
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