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「な、なに…?」
呼ばれるままにドアまで向かい、遠慮がちに聞く。
「及川がさ、話があるっていうんだ。俺も一緒でいいって言うんだけど、今日俺日直でさ、職員室呼ばれてるから。聞いてきなよ」
「え…っ、いいの、鈴木くん」
及川くんが驚いた顔をして鈴木くんを見る。
「いいよ。緑野への嫌がらせの話だろ」
「う、うん」
「でも、どさくさに紛れて口説くなよ」
一言そう釘を指すと、鈴木くんはニッと笑って教室を出ていった。
「じゃあ、ちょっといいかな」
そう言って及川くんは廊下を歩き出す。
頷いてあたしも横を歩いた。
「まさか二人にさせてくれると思わなかったから、ちょっとびっくり」
頬を掻きながら及川くんが天井を見上げる。
同感だ。
そして、久しぶりのこの距離に、少し緊張する。
渡り廊下に出ると及川くんが立ち止まり、話し始めた。
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