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「鈴木…くん?」

昼休み、中庭に行くとそこにはもう鈴木くんがいた。あたしを見ると安堵した表情を見せ、

「よかった、来てくれないかもと思ってたから」

と軽く微笑んだが、その表情はすぐに真面目な物へと戻った。

「単刀直入に聞く。緑野、及川を好きで付き合ってるんじゃないのか?昨日言ってた、"ゲーム"って、何?」

「え…っ」

「ごめん。昨日、二人の会話聞いてたんだ。忘れ物取りに戻って、たまたま」

「あ…」

まさか、聞かれていたなんて、気がつかなかった。

「でも、なんだよ、あの条件。勝ったら別れて、負けたらキスって。無茶苦茶じゃんか」

「えと…、うん…」

付き合っている二人の会話にしては、確かに無茶苦茶だ。

「別れるって条件出すくらいだから、緑野、好きでも何でもないんだろ!?あんな噂まで我慢して…」

「でも、勝つつもりだし!心配しなくても、大丈夫だよ!」

「違うよ、心配なんかじゃなくて…」

う"…
確かにそうだ。

あたしなんかがどうなろうと、鈴木くんには関係ない。

そう思った瞬間だった。

「え…っ!?」

突然引き寄せられた腕。
気づくと鈴木くんの腕のなかにいた。

「好きだ。緑野のことが。今の緑野も、前の緑野も、俺はずっと…」

「へ…!?」

「及川のことが好きなら仕方ないって思ってたけど、そうじゃないんなら、諦める必要なんかないじゃないか」

抱き締める腕の力が強くなる。

「あ、あの…鈴木…くん…?」

「俺ともゲームをしてほしい。条件は、及川と同じ。俺が、緑野に勝ったらキスしてほしい」

「は…!?」

鈴木くんまで何を言い出すのだ…

「正直、このまま無理矢理してしまいたいけど、それはフェアじゃないし、"無理矢理"じゃ意味がない」

「ちょっ、鈴木くん何言って…」

「もし俺が勝ったら、緑野のファーストキスは、俺が貰う」

そう言うと、鈴木くんはあたしの頬に軽くキスをして、体を離した。

「いきなりごめん。でも、俺は及川とは違う。緑野しか考えられない」

そう言うと、走って去って行ってしまった。
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