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意識を取り戻したとき、あたしは見知らぬ部屋にいた。
「え…、どこ…ここ…」
見知らぬ部屋のベッドの上で、重たい身体をゆっくり起こす。
大きな窓から注ぐ月灯りが静かにまわりを照らしていて、とても広い空間であることがわかる。
静かにベッドから降りると、窓際へ足を運んだ。
風に当たりたくて窓の鍵に手をかける。
そのとき、左手に巻かれている包帯に気がついた。
薬指を中心に、綺麗に手当てされている。
薬指…
契約の呪紐があるはずの場所。
不思議に思い、包帯を解いていった。
「嘘…、なん…で…」
そこに、あるはずの物…呪紐はなかった。自分で無理矢理取ろうとした時につけてしまった傷があるだけだ。
ナイフを使って切ろうとしても傷ひとつ付かなかったはず…
あたしは慌ててドアへと走る。
消えた呪紐…
誰が、これを…?
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