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地位もある。
女にだって不自由はしてない。

なのに、そんな俺が心を奪われた相手はどこにでもいるような悪魔の少女。

瑠未に会うまでは、手に入らないものなんてないと思ってた。まさか悪魔に恋をするなんて思ってなかったし。

心だけならすぐに俺の物に出来たけど、心は違う…。そんなことわかってる。

わかってはいるけど、そんな現実を思うたびにイラついて、無理矢理抱いて、泣かせるようなひねくれた愛しか向けられなくて。

つまりなんだ。結局、俺ってあの頃と何も変わってねぇんだな…

なんて思いながら、軽く自嘲した。そのまま、隣で寝息を立てる瑠未の髪を軽く数回撫でた後、瑠未の左手を手に取る。

薬指に、俺が結んだ契約の呪紐。
瑠未と俺を繋げる唯一のもの…

刃物で切ろうとしたのか、それとも噛み切ろうとしたのか、無傷の呪紐の下の瑠未の指は傷だらけだ。

「そんなに俺が嫌だったのかよ。結構凹むな…」

そう呟きながら、でも心は落ち着いていて、俺は瑠未を見ながら軽く微笑んだ。

そしてそのまま、そっと呪紐の上から手を当て、契約を解いた。

-

呪紐がボロボロに朽ち、瑠未の指から離れて、灰のように風に飛ばされていく。

あきらめるわけじゃない。でも、呪紐なんかで瑠未と繋がったって意味がない。俺にとって瑠未は、もう、精気を吸うための悪魔じゃないから。

欲しいのは躰でも精気でもない。
瑠未の心…

END
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「見えない臓器の名前は」
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