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「な…んで、あたしなの」

「ん?何か言ったか?」

「も、やだ…」

行為が終わったあと、いつものことながら動く元気すらないあたしは、天使に服を着せられながら泣き出してしまった。

だって悪魔なんていくらでもいるのに、何であたしなの?

「おまえ毎回泣くほど嫌がってっけどさ、むしろ俺で良かったと感謝ぐらいしてもおかしくないぜ?」

な…
何言ってんの、こいつ。

なんで無理矢理抱かれて、そのうえ感謝までしなくちゃいけないのよ。

「なんだよその顔。言っとくけど天使界探したって、こんないい男なかなかいねーんだからな」

ムシズが走った。
普通自分で自分のことをいい男とか言う?

しかも、悪魔ならともかく、こいつ天使のくせに!

「ま、一つだけいいこと教えてやるよ」

「何…?」

「瑠未、悪魔とか天使とか、そんなの忘れてさ、俺に惚れろよ」

そう言うと天使はいきなりあたしにキスをした。

きつく抱きしめられて、両手で胸を押して離れようとするのにビクともしない。

なんなの?
わけわかんない…

「惚れた男になら、抱かれても嫌じゃないだろ?」

強引で長いキスのあと、天使はそんな言葉を残して、またな、と去っていった。

何考えてんの、あいつ…
だ、誰が天使なんかに惚れるもんですか…!

END
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「見えない臓器の名前は」
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