2/8
隙のない緑野の意外な弱点。あれから俺は緑野をどこか意識してしまっていた。
腕の中で震えていた姿は、思い出すほど可愛く思えて。もし付き合えたら、あれが自分のものにできるのかなどと、つい考えていた。
しかし、悲しいほどに、緑野はいつも通りだった。
「隙が…全くない…」
モニタに映った資料を眺めながら、ため息をついた。
たまたまあの日に緑野の弱点を知ってしまっただけで、普段の緑野には口説く隙など全くないのだ。
あいつ昔からそうなんだよな。周りの男がいくら好意を寄せていても、眼中にもないというか。
口説いたところで玉砕だろうな…。
最悪、二度と話しかけられなくなる恐れすらありそうだ。
溜め息をついて、ノートパソコンの電源を切るとそのまま閉じた。
もう今日は仕事なんて終わりだ。
帰ってこのまま呑もう。
そう思ってエントランスまで降りて絶望した。
「雨かよ…。傘持ってねーし…」
確かに朝の天気予報で今夜は雨だと言っていた気がする。
走って帰るか…、と思った瞬間、空が光って、雷が落ちた。
え…
あいつ、こういう日どうしてんの…
[ 2/8 ]
←Prev | 目次 | TOP | Next→