3/10

だけど現実は、なかなか妄想通りにはいかない。

゙宝生院家の娘として恥じないレディに…゙

お父さんの口癖。我が宝生院家は曾祖父の代に立ち上げた事業が成功し、それ以来、宝生院グループと言えば誰もが一度は聞いたことのある有名企業だった。

゙―だった。゙

そう。過去形。
今は、厳しいのだ。

曾祖父の代とは時代が違う。新規事業もなかなか当たらない。

頼みの綱は、あたしが生まれたときに交わした婚約の話。相手企業はこの16年の間にさらなる成長を遂げ、今の宝生院家を救うのなんて、たやすいらしい。

゙宝生院家の娘として恥じないレディに…゙

つまり、婚約を破棄されることのないように、という意味だ。

自慢の妻として迎えてもらえるように、お父さんはあたしへの投資を惜しまなかった。
[ 3/10 ]

←Prev | 目次 | TOP | Next→

×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -