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「そうそう。お父上様からもう一教科承りましたので、来週から金曜日も参りますね」

「そうなの?嬉しい!先生の授業、わかりやすいんだもん」

あたしの言葉に先生がニコっと笑う。家庭教師の授業が増えるのは嫌だけど、先生は特別だ。

「では、また来週」

「はーい」

玄関先で見送るあたしに、軽く手を振ると先生は帰っていった。

先生ってね、すごく優しいんだよ。

問題が全然解けなくても、怒ったりしないし、わかるように何度でも教えてくれる。

字も綺麗で読みやすいし、ボールペンを持つ手がすごくあたしのタイプ!

他にも、腕時計を確認する仕草とか、眼鏡を上げる仕草とか、低い落ち着いた声とか。

全部を至近距離で眺められる先生の授業は、まさに至福。

彼女…とか、いるのかな?

もう大人だもん。
普通いるよね。

まぁ、いなくても、あたしみたいな子供、対象外だと思うけど。

でも、想像してしまう。

先生はどんな言葉で女性に好きと伝えるんだろう…
どんな風に抱きしめて、どんなキスをするんだろう…

なんて。

いいじゃない少しくらい。お嬢様学校に通う女子高生は、妄想ぐらいでしか男性と関われないんだから!
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