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現在、私はとてもわかりやすく酔っている。

「でねぇえー、聞いて?卓巳がねぇ、話があるっていうからぁ、行ってみたのよー」

「…」

「ほらぁ、私たち付き合ってそろそろ2年経つからね、もしかしてプロポーズ!?とか思ったわけよ」

「…」

「そしたら、別れ話!」

「…」

「もぉぉおお、最悪っ!浮気が本気にとか言うんだよぉー」

「…」

「てか、ちゃんと聞いてる?トラぁー」

お察しのとおり、現在、我が家の愛猫トラに向かって、ビール片手に愚痴り中。"卓巳"というのはついさっきから「元彼」となった大学時代のサークル仲間だ。

社会人になってからもうまくいっていると思っていたのに、気付かないところで浮気されていたらしい。相手は、卓巳の会社にこの春に新しく入ってきた新入社員の女の子だとか。

腹が立つやら、自分が情けないやらで、もうかれこれ3時間ほど、トラを相手にやけ酒。よくできた愛猫は、飼い主の愚痴に付き合ってくれている。

「ごめんね、あんな男にうつつを抜かした2年間。もう私にはトラしかいないから」

そういって抱きしめると、トラはさすがに苦しそうに舌を出し、逃げるようにして腕から逃れた。

「あうぅ…、トラぁー…」

そうして私は床に倒れこみ、そのまま眠ってしまった。

卓巳のコト、私はちゃんと好きだったのにな…
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