閑話
【人生なんて!】
「えー、私が倒れている所をご親切に拾って下さった、と。」
話を纏めれば、そんな所だったらしい。
目の前の麗人(…は女の人か)は槇村紫苑(まきむらしおん)さんというらしく、
「うんそう。
まぁ、あんたじゃなかったら助けなかったかもね。アタシ人間嫌いだし」
…何だか変な人らしい。
まぁ感謝やら自己紹介やら、何で自分があそこに倒れていたか分からないので、何とも答えられない。私は夢遊病だったのか?
ふと視線をずらした窓から見える景色は木々に囲まれていて、とてもじゃないが都会には見えない。
「というか、私だからってどういう事で?私は紫苑さんと会ったこと無いと思いますけど…」
私の言葉を聞いて紫苑さん(そう呼べと言われた)は何ともいえない顔をする。
「あんたがアリスだからよ」
ありす……、アリス!?
あんた…。私と言うことは、決して不思議の国に迷い込んだ訳でもなさそうだ。
Alice……いや、アリス、か。
それを聞いて思い付くのは《学園アリス》という漫画。私もハマったから分かる。
ああ、此処は。
私の知らない世界なんだ。
何故だかすんなりと、そう理解出来た。
「どうしたの?もしかしてアリスを知らない?」
固まったままの私を心配してか、説明とか要る?と聞いてきた紫苑さん。
いやでもまず、
「此処、何処ですか?」
身辺整理が第一ですよね。
此処はアリス学園の北の森の、滅多に人が来ないエリアらしい。
紫苑さんは学園の先生で、今は長期休暇中らしい。
らしいと言うのは、まだ実感が無いからかもしれない。と、紫苑さんが言っていたから。
「ということは、私はアリス学園の敷地にいたんですか?」
「敬語じゃなくても良いわ。
…そうね、急に変な予感がしてね。あのままだとあんた初校長の所まで連れて行かれてたわよ」
「それは感謝します」
いやぁ、いきなりラスボスとか、笑えないっしょ。紫苑さんが何の意味で言ったのか知らないけど。
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