その後は瑞希さんがメイドとしての仕事を色々教えてくれ、それを必死に覚えた。
覚える仕事はたくさんあったけれど、実践した方が早いって言われ、見様見真似でやってみると瑞希さんはちょっと目を見開いてからまだまだ甘いと、手直ししてくれた。
「取り敢えず、一通りの仕事は教えたから明日からはしっかりと働いてもらうわ。
さっきボスが言ってた通り、今晩は幹部が全員揃うからそこで挨拶をしてね。
くれぐれも、失礼の無いように、いいわね」
軽く頷いてみせれば、無意識なのかふっと笑った。
それがなんとも綺麗で、私も笑った。
「っ……ほら、早く、部屋に帰りなさいよっ」
瑞希さんはくるりと後ろを向いてそういうから、不思議に思いつつも、一礼だけして、自身の部屋まで道を覚えながら戻った。
「…あんな不意打ちは卑怯よ、っ…」
籠鳥からの脱出劇。(籠鳥は籠から出ることを学びました。)
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