大学生になっても俺らの関係は変わらなかった。ただ大人の関係も増えたというくらいだった。何度その行為にいたっても俺の心にはどうしても柚希がいた。どうしようもないくらい惚れこんでたんだ。こいつもそうなのだろうか。なんて思いながら何度も肌を重ね、体温を分け合う。
「いつまでこの関係続くのかな」
「お前か俺にあいつら以外に好きな奴で来たときだろ」
「じゃぁ、それができなかったら?」
隣で横になっている歩惟は俺のほうを見て首をかしげる。そのしぐさに自分の暴力的なそれがむくむくと湧き上がるのを感じながらもう一度自分の下に歩惟を押し倒す。文句を言おうとする歩惟にじゃ、あいつらが結婚することになったら俺らもしようぜ。と勝手な約束を取り付けた。そこまで好きな奴が変わらないならもうお互いしかいないだろ、相手なんて。
結局、俺とあいつはあいつらが結婚するという報告する時まで変わらない関係だった。その報告を受けたとき、どこかホッとしたのだ。やっと終われるんだって。その報告を受けた日に俺の家であいつに言ったのだ。俺らも結婚するかって。そしたらあいつは驚いた顔をしていたけどすぐに嬉しそうに笑いする。というから俺もうれしくなって歩惟を抱きしめた。あいつらのことはもういい。俺らは俺らで幸せになろう。そう思えたんだ。
なのに突然、それは変わる。そろそろ指輪を買ってあいつに渡そうか。そう思って歩惟に秘密に宝石店で指輪を買って、いつ渡すかそわそわしてた。突然携帯にかかってきた緊急連絡の電話に、俺は言葉が出なかった。急いで駆け出してそこに行くとついこないだまで照れ臭そうに、それでも幸せそうに笑っていたあいつが倒れていた。血の気のない顔で、真っ白の部屋に。なんで、お前がこんなところで、寝てるんだよ。はっと我に返り急いであいつを探す、どこだ、どこなんだよ。走り回って見つけたあいつはぼろぼろに泣き崩れ、その場に座り込んでいた。その姿を見て思ってしまった。こいつは、俺が支えてやらなかったら壊れてしまう。今だけ、今だけは傍にいてやりたい。こいつが立ち直るまで。
「柚希立てよ。腹に子供がいるのに体冷やしたらよくねぇだろ」
「くらっ、わたしっ・・・わたしっ」
「大丈夫だ。俺がお前が立ち直るまで傍にいるから。一人じゃねぇよ」
だから泣いてていいからちゃんと立て。そういって手を引くとやっと柚希は立ち上がり俺の胸に飛び込んで涙を流す。こいつをほっておくなんてできない。妊婦が一人でやっていけるはずがない。金のことも、精神的にも、誰かが支えてやらなきゃなんねぇんだ。だから俺は迷わず、歩惟に頭を下げて関係の解消を頼んだ。あのとき俺はなんで気づかなかったんだろう。歩惟は笑みを浮かべることもできないほど、ほんとは苦しんでいたのに。おれは了承を得たことだけで頭がいっぱいいっぱいになってあいつとの約束のことも、何もかも気が付いたときにはあいつは自分の家を引き払っていた。そして連絡のないまま6年という月日が経っていた。
いつまでも自分が特別だと思ってた