正也を連れて公園まで出てくる。あれから柚希は元気がない。正也の前でだけ精一杯強がってるけど正也がいないときなんかは部屋にこもっちまってる。どうすっかな・・・。支えるって決めてすぐにこれだ。ほんとに自分が情けねぇ。

「お兄ちゃん、こんなところで何やってるの?」
「へ?」

突然聞こえた声に驚いて自分の足元を見るとそこには写真でしか見たことがなかった優夏がいた。あいつと、俺の子供。なんでこんなところに。そう思ってると優夏は俺の隣に座る。あっちでね洋ちゃんとまさくんがいまきゃっちぼーるしてるの。ゆうかはきゅうけい。おとこのこってすぐもえあがっちゃうからやだわぁ。どことなくませてるのは誰に似たんだ。そう思いながらそうか。と相槌を打つ。

「でもね、ようちゃんはじめてじぶんのものができてうれしそう」
「初めて・・・?」
「うん。うちはね、おとうさんいなくてね。おかあさんだけでいっしょうけんめいがんばってくれてたけどふたりもいるからたいへんでね。」
「おばあちゃんとかは、いなかったのか・・・?」
「いるっておかあさんいってたけどあったことないよ。どうしてもあえないって。あったらたいへんなことになっちゃうから」

あったら大変なことと言われて思いつくのは俺のことだ。あの時の俺がこのことを知れば板挟みになって限界を超えてた。いつも歩惟は俺のことをほんとによく分かってた。俺は全然わかってやれなかったな。昔っから。何かあればいつも先にしてたのは御幸だった。

「でもりょうちゃんがきたからもうだいじょうぶ。おかあさんもきっとげんきになる」
「お前の母さんどこか悪いのか?」
「はたらきすぎなんだって」

ああ、ませてるのはきっと環境のせいだ。俺が半端なことばっかしたせいでこの子はずっと苦しんできたんだ。母親しか頼る相手もいなくて、その母親は頼る相手がいなくて、いい子でいることでしか母親を楽にさせてあげれない。そう思ってたんだろう。そうさせたのは、俺なんだよ。なんて言えるはずもない。

「おとうさんはやくおかあさんむかえにこないかな」
「・・・・は?」
「おかあさんとってもさみしそうだからはやくむかえにきてほしいな」
「・・・その親父がお前の母さん泣かせてるんだ。最低な野郎だ」
「そんなことないよぉ。おとうさんはね、すごくやさしくてぇ。かっこいいんだって。おかあさんいってた」

その言葉を聞いて知らず知らずのうちに涙がこぼれた。ああ、なんだよ。お前ほんと馬鹿じゃねぇの。こんな俺のこと、そんな風に言うな。もっと罵ってくれればよかったのに。こんな俺が、救われる必要なんてないのに。ああ・・・・・もう、涙が止まらねぇし

「よかったね。ちゃんとなけて」
「ほんとにませたガキだな」
「ふふ。はやくむかえにきてね。わたしたちを」
「へ?」

驚いて顔を上げたときには走り出していてりょうちゃん!と叫ぶ。そこには俺の尊敬する先輩がいて呆れた顔をして俺を見ていた。馬鹿だな。お前はほんとに。自分の限界くらい、あのバカじゃないんだから気づけよ。そういわれて初めて自分が限界だったことに気づく。柚希のことも歩惟のことも、大事すぎて、どうにかなりそうだった。それに御幸はやっぱ、おれにとっては最低最悪のたったひとりの悪友だ。ほんとは俺、もう、苦しくて仕方がなかった。歩惟を手放したときも、柚希と過ごす日々も、一番前に進めていなかったのは俺だって初めてその時気づけた。

「亮さん、俺・・・・」
「ん?」
「柚希のこと、いつの間にかちゃんと過去にできてたみたいっす」
「あっそ。んで、やっと前に進めそう?」
「うっす。急いで追いつきます。あいつのところに」

急いで君の傍に

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