俺の、子供がいる。そう知った瞬間自分のしたことが許せなかった。無責任すぎる。勝手に先に裏切ったうえに俺は・・・・。好きだった女のところにいった。その女を支えた。今こいつに気心があるかと言われれば完全にないと否定できなかっただろう。そんな俺の子供を俺の勝手で作り、一人で産んで育てたのか。お前は。

「歩惟ちゃんいいな・・・・御幸が、傍にいてくれたんだ」
「柚希、御幸も歩惟もそんなんじゃ・・・」
「わかってるよ私だって。一人で立たないとだめってくらい。でもね、でも、わたしは歩惟ちゃんみたいに強くないよっ・・・・ほかの人のところなんかに行かないで・・・・御幸っ」

御幸、御幸と何度も泣きながら自分の男を乞う柚希に俺は何といえばいいのだろうか。何を言っても嘘くさい気がする。だって俺は御幸と同じ事をしてるのだ。そんな俺に何が言えるんだよ。ここで俺が支えるのは正しいことなんだろうか。もういい加減、一人で立てるようにするべきなんだろうか。俺にはわかんねぇよ。ただこいつを今ここで一人にするのは間違ってる気がする。今更都合よくこいつを見捨てるのはおかしいと思う。俺が自分で、傍にいるって決めたんだったら最後までそれを突き通すべきだ。それでいつになるかわからねぇけどこいつが一人で立つって決めたとき、立ち上がるのを見届けてそれからあいつのところに行く。何度だって頭を下げて謝って頼む。一生許されなくてもいい、それでもいいから歩惟のところに行きてぇ。でもそれまでは、なにがあっても・・・・。

「柚希大丈夫だ。だからもう泣くな。俺はお前が望む限り傍にいるから」
「倉持っ・・・でもっ」
「お前が一人で立てるまで傍にいてやる。何年かかってもいい」

その間にあいつがだれかを見つけてそいつと一緒になってるかもしれねぇ。けど、今の俺にはあいつの傍に行く権利なんてない。ちゃんとあいつだけになるまで、俺は会う権利だってない。幸せを邪魔する権利なんてもっとねぇよ。けどさ、俺との子供なんだろ。あのときの、俺との間の子供なんだろ。だったらたとえ親になれなくても俺はお前とそのこどもを最後まで見守ってやる。


  − 倉持! −


ごめんな。いっつもお前のこと後回しにして。ダチのときも恋人の時も。そのあとも。いつもお前が無理してんの俺だけが気づいてやれたのにあの日、お前のSOSのサイン気づけなくてごめん。一人で怖い思いばっかさせてごめん。苦労ばっか掛けてごめん。すぐにお前のところいけなくてごめん。たくさんひでぇこといってごめん。
待たなくていい。俺が勝手に追いかけるから。瞬足のチーター様なめんな。必ず追いついてやるから。ちゃんと柚希とけりをつけてから追いかけっから。そんときはどんなばつだって受けてやるから。約束だ。俺の勝手な約束。お前は知らない俺だけの約束

一人ぼっちの約束

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