君は爆弾
大学生になっても野球を続けていた。今さらやめられなかった。なんの縁か、高校時代の悪友と同じ進学となり今も一緒に戦っている。それにここには俺の一番尊敬する先輩もいる。馬鹿な後輩もまた一緒だ。何だかんだで恵まれた環境だ。勉強は高校のときより遥かに難しいが結構楽しいものだ。大学も。
このままかわらずなんて叶わないが、それでもこの毎日が嫌いじゃないから変わってほしくないと思っていた。それを変えたのはたった一人の女だった。
いつものように学食を食べていた。御幸とふたりで。すると突然となりに知らない女がやって来たのだ。普通に座るならともかくなぜか俺のことをガン見してきてなんだ?と思っておれもちらりとみたがサングラスで隠れているためわからない。
「ほんとに、変わらないね。」
「っまさか」
「あれ?声はちゃんと覚えてくれてるんだ?うれしー」
サングラスをとれば思った通り知っている女だった。二度と会うものかと思っていた女だ。何でお前がここに、こんなとこにいるだよ!
「もしかして、sae?シンガーソングライターの」
「はーい、saeです。」
御幸が気づいてしまい俺は舌打ちしてサングラスをかけ直させる。そしてちょっとこいといって無理やりひっぱり人気のない場所まで連れてきた。なに?洋一ってばこんなとこつれてきて?何させる気?なんてふざけてる女をにらむ。
「お前、ほんと自分勝手なやつだな」
「なんで?彼氏に急に会いに来ちゃ行けないの?」
「もうとっくにわかれてんだろ!」
「別れ話なんてしてないよ?」
「よく、そんなこと言えるな。あんなことしておいて」
「・・・・。なんだっけ?」
こんな女に構ってるだけ無駄だった。そうだ。こいつはそういうやつだ。確かに、こいつとは恋人だった。高2のときまで。あの日の裏切りまで、俺は何があってもこいつを信じて、こいつだけを思った。それがあの結果だ。お前の言葉だけは、信じてた。まさかその言葉に裏切られるとも知らないで。
「少しの間休暇をもらったの!だからまた会いに来るわ」
「はぁ?!」
「またね、洋一」
そういってあいつは立ち去っていく。俺の気持ちなど無視して。

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