私たちが2年生になったということは、もちろん後輩が出来たということだ。栄純はそうなる前からひどく楽しみにしていて、ずっとそわそわとしたり、にやにやしたり、まるで小さな子供が玩具を受け取る前のようだった。かわいい、と思うけど本人にいうと怒られること間違いなしなのでやめておく。
同室の後輩が入る時には伝統があってだな。と、いつも聞いてないのに語り出す。そんなに嬉しいのか。そうかそうか。うんうん。女の子のようにおちのあるかないのかわからない話を永遠と始める栄純に呆れつつも、内心少し安心した。3年生の先輩のこと、栄純のなかでちゃんと区切りがつけだんだ。
後輩が入ってすぐに栄純は負けてられるか!と気合を入れ直していた。過去の自分を思い出したのだろうか。相変わらず野球バカをしている。そんなバカをずっとみてる私はもっと馬鹿なのかなって最近思い始めた。
「あ。」
「へ?」
「やべ!えっと、ちわっす!」
「こんにちは。」
いきなり廊下で目があい、声をあげられて足を止める。えっと、確か、この子野球部の・・・
「瀬戸っていいます。野球部の1年です!」
「どうも。私は2年のみょうじです。」
「あの、たしか沢村先輩の彼女さんですよね?」
彼女?ん?違う違うと首を横に振るとえ!?と驚かれ話してみるとよく応援に来てて、2人でいるとこを見かけたりしたからそう思ったらしい。その誤解はお互いのためにきれいにとくとそうなんですかー。と納得してくれた。たぶん。
「ところで、栄純は瀬戸くんたちとうまくやってる?」
「あー、まぁ。」
「どうせ先輩風ふかして誰か怒らせたんでしょ」
「なんでわか、あ!」
「やっぱり。最近ない頭使ってたから何かあったんだろうなって思ってたんだよね」
「沢村先輩だけが悪いわけじゃないんすよ。なんていうか、うちのにも色々原因があって」
「ムカついちゃうもんね。五月蝿いし、しつこいし、暑苦しいし。お友達が怒るのも仕方ない!」
私がそういうと瀬戸くんは驚いた顔をしていた。別に私は栄純の全部が正しいとは思ってない。けど、全部は間違ってないよ。しってるもん。君たちなんかより、栄純のこと。
「あんなんでわかりにくいけど、いつかきっと分かるよ。野球部続ける限り」
「へ?」
「いざってとき、カッコイイんだから!」
「沢村先輩がですか?」
「うん。だから他の先輩たちも栄純を弄るけど、認めてるんだよ。戦力として」
「すっごい恥ずかしいこと平気で言うんすね」
「そんな事ないよ。恥ずかしいから、栄純にはナイショにしててね」
にしし。とイタズラした時のように笑うと瀬戸くんも釣られて笑い、わかりました。とゆってくれた。それから少しだけおしゃべりしていると瀬戸くんのお友達が来たのでお別れして教室にもどる。
私の机に伏せたまま動かない栄純がいる。遅くなったからこれは拗ねたな。タダでさえしょげてしまっているのに。こういうときは甘えたふうの優しい声で名前を呼ぶべしだ!
「えいじゅん」
「・・・遅い。」
「ごめんね。栄純もう先輩になったから、ちょっと留守番しててもらうの大丈夫かなって思って」
「別に全然待てるしな。ちょー余裕で待ってたしな」
うん。でも待たせてごめんね?ありがとう。とそこまで言うと機嫌はなおり早くこっち来いといって隣をの椅子叩く。ほんとに、単純でかわいいなぁ。なんて思ってるの、絶対秘密だ。
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -