嘘をついていい日は子供のころからワクワクした。何を言っても許される日。全部うそだっていったらごまかせる。小さいころからその言葉をそのまま信じてよく人をだましては嘘だって言って笑ってた。だからそんな気持ちでついた嘘なのに、まさかそのまま鵜呑みにされるなんて思わなかったんだ。
「かねまーるっ!助けてくれ」
「は?なんだよ急に」
「なまえが、なまえがっ、」
「みょうじが急にどうしたんだよ」
「エイプリルフール知らなくて、嘘信じちまった!!」
どうしよう?!と慌てる俺にカネマールは大きなため息をついて自業自得だろ。といって去っていこうとする。それを慌てて止めて見捨てないでくれ〜と泣きついた。だってまさかこんなことになるとは思ってもみなかったんだ。
昨日いっぱい嘘を考えた。春休みだからあいつが練習を見に来ない限り会えない。それなのにあいつはここぞとばかりに短期のバイトを入れたらしく全然会えない日が続いてる。だから少し寂しい気持ちもあってエイプリルフールを思い出しなにか気を引けるうそをつこうと思ったんだ。嘘とはいっても怒られるような嘘はだめだ。心配かける嘘も、きっと怒ってしばらく口を聞いてくれなくなる。そんなの嫌だから一生懸命考えて出た答えは幼馴染と付き合うことになった。だった。これなら別に傷つけないし、大丈夫だろ!って思って朝一番にメールしたらそっか。それじゃ名前で呼ぶのもなしにしとこうね。これからは授業中肩貸したりもできないね。なんて言われたのだ。急いで嘘だ!エイプリルフールだ!って言ってら何それ?と返ってきて嘘ついていい日!と慌てて返しても返事は帰ってこなかった。
こんなつもりじゃなかったんだ。そう嘆いてもカネマールはお前が悪いだけだろ。しか言わない。そりゃそうだけどどうにか誤解を解く方法はないか一緒に考えてくれたっていいじゃんか!うう〜と唸るとうっとおしい!と怒られるけどそれでもカネマールにしか頼れないことだから必死に縋りついた。
「あらら、かねまーるとさっそく浮気してるね。幼馴染の子にいいつけちゃうぞ」
聞こえた声にぴくっと反応して振り返れば私服姿のなまえがそこに立っていた。急いで駆け寄って違うんだ!!と腰に縋りつけばよしよしわかってるから落ち着こうね。といって頭をなでられた。
「金丸なんかごめんね。騒がせたっぽくって」
「その馬鹿が勝手にバカして騒いでたんだろ。でもまぁ、とりあえずもう騒がないようにしといてくれよ」
「はーい」
状況がさっぱりつかめない俺は去っていくカネマールを見ながら今の状況を考えた。なんでなまえがここにいるんだ?思ったことがすっかり口に出ていたらしくてなまえはクスリと笑い、栄純がそろそろ拗ねてるころだと思って。という。別に拗ねてねぇし!と反論するとあらいいのかな?私このまま別に帰ってもいいし、一也の応援に移動してもいいんだよ?なんて言われてごめんなさいやめてください。と謝ればすぐに許してくれた。
「若菜と付き合うっていうのも嘘なんだ!エイプリルフール!」
「ああ、そうだろうなってわかってたよ。メールももらったし」
「へ?じゃ、じゃぁなんで返事くれなかったんだよ?!」
「今日行くから直接言えばいいかな〜って。」
なんだよそれってうなだれると私に嘘つこうとした栄純が悪い。参ったか。と二ヒヒと意地悪な笑みを浮かべる。この顔、御幸に似てる。御幸ほど整っているわけじゃないけどやっぱり一緒に過ごしてるうちに似たところはあると思う。似なくていいところが特に似てる。
「だいたい、バイトしてるのだって栄純のためなんだけど」
「俺?」
「そう。甲子園に応援行くときの交通費!それ稼いでるんですけど」
お小遣いじゃ足りないからねぇ。なんてのんきに言ってるけどそれって。驚いて目を見開いているとなまえはどうしたの?と顔を覗き込んでくる。春なのに、まだ一つも試合してないし、勝てる保証なんてどこにもないってことは去年いやって程知った。それなのに、なまえは信じてくれてるんだ。俺たちが甲子園に行くって。
感極まってなまえの胸にだいぶする。絶対甲子園行くからな!待ってろ!力いっぱい叫ぶと耳元で叫ばないでよ。と怒られたけどそれでもいい。絶対決める。甲子園
「そういえばエイプリルフール知らないっていうの、あれ嘘だから」
「はぁ?!」
「嘘つかれたお返しだよ」
だまされたか、はっはっは。と御幸みたいな笑い方をするからほんとに御幸そっくりっていったらほんとに嫌な顔して恐ろしいこと言わないでよエイプリルフールでも。なんてそこまで言われた御幸にちょっとだけ同情した。

2年目の四月馬鹿
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