04

友夢と別れたのは中3の春だった。俺が青道に行くことになったから。その時、あいつは最後に俺のことが好きだといった。泣きながら、最後の最後に、俺が何もできない時に好きだって言いやがった。俺はあの言葉を、あの時のことをずっと忘れることができねぇ。だからか、彼女っていうのができてもいまいちピンとこねぇし、それのせいもあって、付き合っても割と早く別れた。告白されて振られて、その繰り返し。付き合うたびにもなは今度こそうまくいくといいね。というが俺は初めから分かっていた。きっと今回も長くないと。でもあえて黙ってた。言えるはずねぇだろ。カッコわりぃじゃねぇか。ずっと、ただひとりの女のことだけを思ってきたなんて。その女の言葉を、何年も前のその女の言葉を、今でも信じてるなんて。沢村より馬鹿じゃねぇか。
ごめん!このあと彼氏と待ち合わせしてるから。なんてわかりやすい嘘を言って去っていくもな。俺の隣にいるゆゆは素直に信じてるけどな。ちゃんと家の前まで送りなよ!なんて捨て台詞聞いたことがねぇ。しばらくそのままだんまりになっていた俺たちだがじっとしても仕方ねぇから行くか。と行って歩き出す。お前んちどこ。そう聞けばゆゆはあわあわと慌て出し大丈夫、一人で帰れるよ。という。まだ明るいし、私みたいなのをどうこうしようなんてもの好きいないから。なんて言われたが気にせずもう一度どこだ。ときく。するとゆゆは困ったような顔をして自分の住んでるマンションの名前を言う。そのマンションは俺の家からそんなに遠くなかった。行くぞ。といって歩き出すと慌てて後ろからゆゆは追いかけてくる。しばらくの沈黙のあと、ゆっくりとゆゆが口を開いた。まさか洋一くんにまた会えるなんて思ってなかったよ。と言われ俺もだ。と返す。実際もながいなければ一生会うことなかった気がする。おばさん元気か。と聞くとうん。洋一くんのおじいちゃんも元気なままだね。うちのじいちゃん年の割には普通に歩き回るしな。いつも洋一くんの自慢話してくれたよ。会うたびに。げ。何やったんだよあのジジィ。もう本当に楽しそうに話すから、ついつい私も聞き入っちゃった。なんて言われると少しむず痒い。とにかく別の話題と思い共通の知人であるもなのことを話題に出した。そういや、もなとはうまくやっていけてんのか?先生と?お前人見知りだろ。ああ、うん。先生はね、大丈夫だったの。未だに聞きなれない先生という言葉を気に留めながら大丈夫?と聞き返す。先生ってなんだかすごくほっとして。だから、安心しちゃってて。なんだかお母さんみたいだなって思うの。えへへ。と少し恥ずかしそうにはにかむ。ああ、やばい。何年もあっていなかったせいかちょっとした笑みでさえ見ていられない程眩しく感じる。
やめてくれ。頼むからまじで俺が浄化される。そんなことをを知るはずもないゆゆはにこにこと終始笑う。家まで送り届けた時には俺はほぼライフポイントがゼロになっていた。けどよくよく考えればほんとになんて出来た話だ。二度と会えないと思っていたずっと恋焦がれていた奴が目の前に現れるなんて。こんな奇跡あるのだろうか。あっていいのだろうか。そう思わずにはいられなかった。
俺はあいつとの約束を破って野球を取った。そんな俺なんかを、あいつだけはほんとに祝福して、最後まで必死に泣きながら笑みを浮かべて見送り出してくれた。あんなに俺のことを本気で思ってくれてた。俺だって本気で好きだった。どんだけ時間が経っても忘れれずに、ずっとずっとその面影を追いかけて・・・。
ずっとずっと呼びたかったんだ。音に出して、外に出したかった。
「ゆゆ・・・」
その言葉をもう一度口にすると俺はぼろぼろと涙をこぼす。ああ、ほんとに俺あいつのこと好きなんだ


ねぇ、名前を教えて

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