03

驚いてお互いに固まってしまう俺たちを見てもなだけが取り残されたような顔をして困惑している。いや、俺たちも十分困惑してる。なんでお前が。そう聞くところだろうが事情はペラカペラか語ってくれた奴が隣にいる。そして俺の事情も今さっき話した。この状況どうすんだよ。硬直状態が続くともなは俺の背中をバシっと叩いてゆゆのことをよしよしと頭を撫でる。とりあえずお昼どきだしご飯行こうか。さりげなく話の場を設けてくれたもなに少し感謝をした。いつものような居酒屋ではなく少しばかり洒落たカフェに入り飯を注文し終わるともなはじっと俺を見つめる。だから幼馴染だよ。と言えばなるほど、と頷かれた。そういえば千葉出身って言ってたもんね!とゆゆに話を振るとゆゆはコクコクと頷いた。なんでコイツさっきから黙ってんだよ。そんな気持ちが出ていたのかもながジト目で俺を睨む。おまえ、前から思ってたけど俺の扱いひでぇよな。緊張してるの?と優しく聞かれるとゆゆはコクコクと頷く。まぁ、確かにコイツ人見知りだしな。まだ人見知り治ってなかったのかよ。と言えば驚いた顔をされた。覚えてたの?その言葉を聞いた瞬間なぜだか少し気恥ずかしくなってそっぽを向いてまぁな。とつぶやいた。クソ。なにやってんだ俺。そんな俺の様子を見てもなはまさか、と言わんばかりの顔をする。やめてくれ。お前まじで何もしないでくれ。ゆゆちゃんよかったね!何かあったときはすぐにコイツに連絡しなよ。私もすぐ駆けつけるけどコイツの方が近いし。なんて勝手に決められる。ゆゆも慌ててそれは悪いからいいよと断ろうとした。それがなんだか気に食わなくてついつい俺も何かあったら連絡してこいよ。と言って携帯を取り出し連絡先をよこせと言うとゆゆは驚いた顔をして俺を見る。恐る恐る俺の携帯に自分の携帯から自分のデータを送ってくるとぎゅっと携帯を握りしめた。俺のも送ると保存された俺の名前を見てゆゆは嬉しそうにニコニコと笑う。うっかり可愛いとか思ってしまった。俺の心を読んだであろうもなはニマニマと笑って俺を見る。ああ、嫌な奴にバレた。そういえばなんで先生と洋一くんが知り合いなの?と小首をこてんとかしげる仕草はまた俺のツボで。となりで同じように悶えているもなをみるとなんだか複雑な気持ちになった。
「コイツとは高校時代ちょっとした縁でつながったんだよ。今は飲み仲間ってとこだな」
「そうそう。たまーに、お酒飲んでお互いのこと報告して愚痴り合う仲」
同じ高校だったの?と聞かれいや全く。と返す。確かに高校時代の縁ってそういうこと以外そうそうないよね、あれは例外中の例外だし。とりあえず甲子園球場でバイトしてたんだよ。私。その時いろいろあって出会ったんだ。と簡単にもなが説明すると案外簡単に納得してくれた。よかったよかった。そう思っていたのも束の間、もなさんの彼氏って洋一くんのことだったんですね。と言われた瞬間もなと俺が飲んでいたお茶を吹き出した。おいちょっと待て。今のなんだよ。嘘だろ。バカじゃねぇの。お互い同時にありえない!ありえねぇ!と叫ぶ。当たり前だ。こいつとそういう関係になろうなんて微塵も考えたことねぇ。こいつが例え俺の家で無防備に寝ようとも、居酒屋で酒飲みすぎて帰り道おぶって帰ることになった時も、どんな時だってかけらほども下心なんてなかった。つかあるわけねぇ。そんな目で見たことも見ることも一生ねぇ!!つかこいつの彼氏俺の知り合いだ!あの変態メガネだ!つかあいつがこいつのこと好きじゃなかったら社会人になってコイツと会うことだって一度もなかったっつうの!俺ともなが息を乱しながら必死に説得するとゆゆはわかった。と言って頷く。動揺していた俺等が馬鹿みたいに。ああ、そうだ。こいつ人の言うことなんでも信じる奴だった。呆れてため息を付けばゆゆにため息つくと幸せ逃げちゃうよ?と言われてもう一度ため息をつく。逃げてたらお前とあえてねぇよばーか。なんて言えない


幸せため息

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