02

休日。久々の休みを家でだらだらと過ごすのもいいけどなんとなく外に出たい気分になった。サングラスとかかけて少し変装をして家を出る。たまには一人でブラブラすんのもいいか、なんて思って誰かに連絡することもなく、ショッピングモールの中をうろちょろした。あ、この腕時計結構かっこいいな。あの服いいんじゃね?なんて一人で考える。だけど最終的に足を向けたのはスポーツショップ。俺どんだけ野球馬鹿なんだよ。自分で呆れた。戻るか。と思って引き返そうと思ったときいきなり背中に衝撃が加わる。そこまで強くないが、なんだと思って後ろを見ると見ず知らずの女が半べそで助けてください。と言いだした。意味不明のことにあっけにとられていると女の走ってきた方から男女がなにかもめてる声が聞こえる。あれのことか。と思いとりあえずそっちを見るとまさかの知っている奴がいた。大きな男と言い合ってるのはもなだった。なにやってんだあいつ。ついついほうけてしまうと俺にぶつかってきた女が走ってもなの前にいって怖そうな男の前に立ちふさがる。小さな体を震わせて必死でなにか説得をしている。男たちは下品な笑みを見せて償えやらなんやらで女の腕を掴む。それをもなが許すはずもなくその手を放せと思いっきり男の急所を蹴り上げた。いってぇ。見てる俺まで涙目になりそうなくらい上手く決まったキックをモロに食らった男は大きな悲鳴を上げる。そのうちに逃げようとする女二人をもうひとりの男がこのクソアマ!と叫んでもなの髪をぐいっと無理やり引っ張った。やべぇ。すっかり固まってしまっていた自分を慌てて動ごき出す。男からもなを助けようとするとまたさっきの女が必死で男をポカポカと叩いてもなを放せと反撃する。全然攻撃になってねぇ。だけど男はもなの髪を離し、じゃぁ、お前が償え!と叫び女に拳を振り上げた。俺はそこに滑り込んでその男の拳を受け止める。いきなりの知らない男の登場に驚いたのか男はあっけにとられて固まる。誰だてめぇ。そう叫んだ瞬間またもなのけりが綺麗に股間に決まった。
行くよ!もなが俺の手を取り、俺が女の手を取る。そしてその場から思いっきりダッシュ。最終的に体力のない女二人を俺が引っ張る羽目になったけどな。
少し離れた場所で息を整えながらもなを見るとまだ息を荒げてゼーハーと言っている。こりゃダメだ。と思って女の方を見ると女も同じように息を荒げていた。こっちのほうがもっとひどい。体力ねぇな。独り言のようにつぶやいた言葉にもながぐわっと目を広げてうるさい!と叫ぶ。なんだ、元気あんじゃねぇか。ボサボサになった髪を手グシで適当に直し、自分のカバンから櫛を取り出すともなは女の髪を整えた。そして大丈夫だった?と声をかける。つうか俺になんかねぇのかよ。女は大丈夫です。と返し俺のほうを向いて荒げた息のまま必死にお礼の言葉を述べた。すっかり調子を取り戻したもなはそういえばなんであんたがここにいるの?と首をかしげる。つかそれは俺のセリフだっての。ここ俺の近所の店だろ。というと納得してもなは彼女の家具選び、と言って女を見る。もしかしてこいつが前の話のやつか?と聞くと目を輝かせて頷かれた。お前、ほんとに性別女だよな?おっさんとかじゃねぇよな?つかお前のほうが髪ひでぇぞ。というともなはイライラした様子で自分の髪も櫛でときなおす。ふと女と目が合うと女はきょとんとした顔をして俺を見つめた。もなは俺を見て女が怯える!と言って無理やり変装用のサングラスを外した。てめぇ!と怒ろうとしたとき「よ、いち・・・くん」と女がつぶやく。それは俺の名前。驚いてもう一度女の顔を見るけどあまり見覚えがない。誰だ?首をかしげそうになったがふともなの話を聞いて思い当たった人間の名前を思い出す
「ゆゆ・・・・?」
つぶやくそうにその名を口にすると女は驚いた顔をしてこくりと頷いた。





夢で何度もであったけれど

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