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好きなんだ。だから彼女になって


もなさーん!といって男の子が先生に抱きつく。先生もそれはそれは嬉しそうに両手を広げてそれを抱きしめた。自分より大きなその子をまるで子供のように扱うのはさすがだと言わざるえない。デレデレとした緩んだ顔を見るとこっちもなんだか幸せな気分になれる。あいつ遅くなるから先に店入んぞ。そういって洋一くんに手を引かれお店の中に入る。予約してた倉持っす。あ、倉持くんいらっしゃい。いつものところ開けてるわよ。ありがとうございます。あ、連れ外で騒いでるんで、後から来ます。もなちゃんでしょ?さっき名前誰かが呼んでるの聞こえたわ。声は、沢村くんかしら。そうっす。久々だったんではしゃいでで。すみません。いいのよいいのよ。もなちゃんにはこっちも助けてもらってるし、沢村くんの声聞くと元気になるから。そんな会話をお店の人とするとそれじゃ、といって奥の個室に入っていく。行き慣れてるし、いきつけのみせ。というやつなのだろうか?ここよくくんだよ。あいつらと。先生たち?ああ。沢村がここの女将さんと仲良くなって、それからよくくんだ。で、もなはここのメニューにいろいろ感心してて質問とかしてるうちにおっちゃんと一緒にメニュー考えたりしてな。今じゃ顔もすっかり覚えられてんだ。なんて話しているとおまたせー。といって先生たちがやって来る。ってあれ?人数増えてる??桜色の髪の男の子と身長の大きなぼーっとした感じの子。誰だろう。と思っていると先生がもみくちゃにされ始めた。俺の隣に座るんだ!僕の隣だよ。ほらほら、二人とも店の中で喧嘩しない。そんな4人を大人しく見守っているともなさんの携帯が突然鳴り出した。しかもなぜか警報音。え。と驚いていると素早い動きで通話ボタンを押し、肩で支えながら両手で騒いでいた男の子ふたりの口を抑えた。
は、はいもしもし。少し怯えたような声に驚きながらも先生は誰かとの会話を続ける。洋一くんが亮さんか?と聞くと先生は泣きそうな顔で頷く。そ、そんなに怖い人なんですか。え、いやえっと。今日はですね。いや、いやってわけじゃなくて。むしろ行かせていただきたいくらいなんですが。そ、そんなとんでもない!亮さん以外を優先だなんて。ただ先に約束していたんでやっぱりそこはきちっとしたくて。あー、全然大丈夫なんですけどね。はい、はい。またちゃんと日を改めてですね。え?倉持ですか?いますけど?今日は私の教室の生徒さんとも一緒に食べてるんで。はい。はい。いや、え。違いますって!
必死な先生を見かねてか洋一くんは指をくいくいっと自分の方にする。先生もその意味を分かっているらしく携帯わたし、席を立って離れていってしまう。その後ろ姿がどこか嬉しそうだった。この前まで元気なかったのに。とりあえずみんなそっちで私がゆゆちゃんのとなりね。そういって先生はぐったりしたように座り込む。大丈夫ですか?と聞くと力なく笑ってくれた。あの、亮さんって?あー、亮さんはね見た目すっごく可愛いんだけどすっごい怖い人!笑顔で毒吐くし、見た目とのギャップで私泣きそうになった。洋一くんも知ってる人なんですか?まぁ、洋一くんの尊敬する先輩だから。洋一くんなんだかんだで久しぶりに話せて嬉しいんだろうね。あんな嬉しそうにされたら何も言えないよね。
そのあとも先生が何か話してたけど全然頭に入ってこなかった。洋一くんの尊敬する人。先生が絶賛するような見た目が可愛い人。りょうさん。その名前を頭の中でよんでみると胸がチクリと痛む。ああ、大人になってもまた失恋しちゃったよ。



この年になって失恋は痛いよ


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