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そういえば、倉持って好きな人いないの？俺がよく御幸とのことを茶化すせいか、いきなりこいつはそんなことを言いだした。いねぇよ。そう冷たく返すとなぜかニヤニヤと笑われる。コイツはもしかしたら俺の心情を知っているのかもしれねぇ。このことは御幸も誰も知らねぇ、俺だけの秘密だった。それがバレてしまったのだとすればなんとなく気まずい。じゃぁ、好きな人いたことある？お前やっぱりわかってんだろ。俺がそう言うと目の前のこいつはニヤニヤと笑う。最近あのメガネに似てきたんじゃね。と言えば本気でショックを受けた顔をして頭を抱え込んだ。そんなに嫌か。お前の彼氏だろ。だって、まさか倉持に忘れられない子がいるなんて思ってなかったから。やっぱわかってんじゃねぇか。コイツより付き合いの長い奴らに一度もバレなかったことがこうも簡単にバレてしまうものなのか。それくらい俺はコイツといるのだろうか。それともただ単にコイツの勘がいいだけなのか。一応さ、倉持にはいろいろお世話になったし。なにか力になることがあればなるよ。俺はタダ強引にコイツと御幸をくっつけただけだ。だから礼を言われる筋合いもねぇ。なのに律儀なやつ。最初泣きながら嫌がってたくせに。倉持って、さ。意外とすごい優しいし、心配性だから。いっつもかわいそうな役回りが多いじゃん。御幸と同じで。私はいつも助けてもらってばかりだから。背中を押してもらってばかりだから、頼りなく見えると思うけど、何かあったときは頼ってよ。それが無理な時は弱音を吐いて。力が必要な時はいつでも貸すから。倉持には、さ。幸せになって欲しいんだよ。本当にそう思ってるから。少し照れくさそうにはにかむこいつをみて俺は申し訳ない気持ちになる。こればかりはどうしようもないんだ。俺はあいつのことを忘れることも、切り捨てることもできない。もうずっとこの気持ちを背負ってきてる。日に日に大きく、重くなるこの気持ちを。覚えておいてやるよ。そう強がるのが精一杯だった
臆病者なんだ俺は
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