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あ、ゆゆちゃんこれ上げるよ。そういって先生がくれたのはアルバムだった。中を開くとたくさんの先生のレシピ。こ、こんなのもらえません!これは、先生の。いいからもらって。簡単なの集めてみたから。ああ、あと一番下見て。そう言われて下を見ると思わず大きな声を上げてしまう。だだだだだって、これ。
「倉持洋一くんのお写真シリーズです」
「ここここれどこで?!どこで売ってたんですか?!」
「残念ながら当店の非売品になります。」
だから写真みたいな顔させれるように頑張って練習してね。は、はい!もう全力で頑張ります!ありがとうございます!あ、でも倉持には見つからないようにね。私の盗撮バレて怒られるから。てへ。とおどけてみせる先生に笑顔で分かりましたと返した。
晩ご飯も一緒に食べてどうやら今夜もお泊まりになるらしい。私は着替えを取りに家に一度帰るため洋一くんが車で送ってくれることになった。運転してる姿の洋一くんもかっこいいな。なんて思いながら思い馳せているとなぁ。と洋一くんに声をかけられる。ど、どうしたの?少しどもりながら返事を返すと洋一くんは一度目を閉じてゆっくりと開ける。これは何かを諦めた時の癖だ。なにか言おうとしてたことをやめたんだと思う。あいつとはだいぶ打ち解けたんだな。先生のこと?おう。先生優しいからね。あんな素敵な人を好きになるなんて御幸さん見る目あるよね。先生にはねーけどな。え?あいつらいっつも喧嘩ばっかしてるからな。そうなの?御幸がすぐに妬くからそれでよく言い合ってる。あいつと何かあるとすぐウチくるからな。先生ってよく洋一くんの家に来るの?まぁな。つってもシーズンとかになるとほとんどあわねぇけど。沢村とか来て3人で酒盛りしたりな。沢村・・・くん?前に一度だけあったことある子?おう。今うちの球団で売り出し中の新人投手。
その後沢村君について洋一くんは嫌そうな口ぶりで語ってみせたけど本当に大事な後輩なんだろうなってすぐにわかった。だって話しているととても楽しそうでたまにすごい心配そうになる。ほんとに大好きなんだろうな。素直じゃないから。ふふ。と私が笑うとなんだよ。といわれてなんでもない。と返す
「私も沢村君にまたあってみたいな。きっとすごくカッコいいんだろね。洋一くんがそんなに褒めるんだもん」
「・・・・。」
「洋一くん?」
「別に、会わなくていいだろ」
「へ、あ、ごめんね。」
気に入らないことを言っちゃったようだ。洋一くんはむすっとした顔になっている。さっきまで機嫌良かったのになぁ。何やってるんだろ私・・・・。思わず落ち込んでいると赤信号になって車が止まる。さっきまで赤信号のたびに長く一緒にいられるとか思って嬉しかったのに今じゃその反対のことを思ってるよ。
「・・・から」
「え?」
何か洋一くんが言ってたけどうまく聞き取れない。洋一くんのほうを見るといきなり大きな手が私の頭をガシと掴みぐしゃりと撫でる。
「あいつなんかよりカッコいいところ俺が見せてやるから、それでいいだろっ!」
もう一度ぐしゃりと撫でられると洋一くんの手が離れてハンドルを握る。そして車もゆっくりと動き出す。洋一くんの視線は一度もこちらを向かずただ前を見てた。もう一度赤信号になった時にゆっくりと息を吸って洋一くんを見る
「いつだって洋一君が一番かっこいいよ!誰よりもっ」
だんだんと恥ずかしくなって視線を逸らしてしまう。なんとなく言わなきゃと思っていってしまったけどこれ結構恥ずかしいこと言っちゃってるよ。どうしよう。あわあわとしながら俯くとまたくしゃり、と頭を撫でられる。その手はさっきよりも優しい手つきで私をなでた。
「当たり前だろ、ばか」
そう言いながらも少し嬉しそうで照れくさそうな洋一くんに胸がキュンとするのがわかった


恋の方向がわからない

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