08

洋一くんは変わってなかった。キラキラした目。無邪気な笑顔。ぶっきらぼうだけど、とても優しいところ。全部全部大好きだった。全部全部大好きなの。あの日のもなさんの話では洋一くんに彼女とかはいないらしいけどでも好きな人はきっといるよ。だってすごくキラキラしてるもん。きっとずごく可愛くていい人なんだろうな。というか、まだわたしは洋一くんが先生のことを好きじゃないのかって疑っている。だって、あんなに家庭的で素敵な人ほかにいないよ。彼氏さんが羨ましい。私もあんな人に嫁いでもらいたい。って、そうじゃなくて、とにかくふたりの仲の良さを見るとそう思わずにはいられない。先生に気持ちがなくても、洋一くんは・・・。ズキリ。と胸が痛む
わたしほんとストーカーみたいだな。中学生の初恋を今でも追いかけて。洋一くんはとっくにあんなこと忘れてるだろうに。私の告白なんて、日常のひとかけらみたいなものになってるだろう。私にとって重要なだけなのにな・・・・。ネガティブな考えになるととことんだめだ。ああ、悲しくなってきた。カバンのなかでバイブの音が聞こえて携帯をだすと画面には先生の名前が。なんだか今出たくないな。けど、そんなの失礼だ。勝手にヤキモチ妬いてるだけなのに。通話ボタンを押してもしもし。というとすぐに助けて!という焦った声が聞こえた
「だ、だいじょうぶですか?!」
指定されたお店に慌てて駆けつけるとお店のひとつの座席で先生に抱きついている洋一くんを見つける。ズキリ。また胸が痛む。先生は私を見つけると天の助けと言わんばかりの顔をして洋一くんの頬を叩く。ほら。本物のゆゆちゃん来たよ!起きろ!え?本物ってなんのことですか?と聞こうとする前に洋一くんとバッチリ目が合う。すると今度は私の方に抱きついてきた。え、えぇ?!ゆゆ〜。なんて甘えた声を出されて心臓がバクバクする。わわわわ。どうしよう。どうしよう。肩に顔を押し付けて擦り寄ってくるのがホントに可愛い!けど、くすぐったい。ってだからそうじゃなくてどうなってるのこれ?!先生に助けを求めようとすると先生はもうひとり誰かいたらしくそっちを介抱していた。ほら、栄純くん帰るよ。お勘定したんだから。もう。やーです。もなさん御幸のとこなんかに帰らないでいいじゃないですか。よしよし。わかったから。わかったからお店出ようね。やーだー。わかったわかった。今日は倉持の家に泊まろう。よし、それでいいよね。先生がそう言うともうひとりの男の子は嬉しそうに笑い先生に大好きといってまた抱きつく。
その後タクシーを使ってなんとか洋一くんの家に行くと先生は男の子を必死でおぶって中に入る。そして洋一くんのカバンから勝手に鍵を取り出して家の中に入るとベッドに男の子を寝かせてくるから洋一くんをソファーに転がしとくように頼まれた。でも私からすればちょっと重すぎるよ洋一くん。こんなに細いのになんで・・・!なんとかソファーまで肩を貸しながら運び、二人でなだれ込むように倒れ込んだ。いたたた。だいじょうぶ?ごめんね。と声をかけると洋一くんはゆゆ。ゆゆ。と何度も私の名前を呼ぶ。恥ずかしくなって耳を塞ぎたくなった。けどその手さえも掴まれて動けない。ゆゆ。と何度も名前を呼びながらまぶたや頬、鎖骨などにキスを落とされる。わわ。なにこれ。どうしようどうしよう。あわあわと慌てていると待ちなさいおバカ!!と慌てて先生が止めに入ってくれた。し、心臓止まるかと思った。先生は顔を青ざめて私の方にだいじょうぶ?と尋ねる。私がだいじょうぶですよ。となんとか答えると洋一くんはもな邪魔。といって先生を押しのけてもう一度私の上に倒れこんだ。ゆゆ。ゆゆ。と何度も名前を呼ばれる。先生は呆れてしまったのかだんだんと諦めて携帯を取り出すとなぜかカメラをこちらに向ける。先生?と声をかけるとああ。これ私の無罪証明のため。といってカメラを回す。倉持、いい加減離れなさい。やだ。私は止めました。起きて私に文句言うのはなしです。ん。自己責任です。ん。それセクハラだけどいいの?ん。そう返事をするとまたゆゆ。ゆゆ。といってまるで赤子のように擦り寄る。それを見てもはや先生は大きな声を上げて笑っていた。ヒーヒー言いながら良い。覚めたあとが楽しみ。なんていっている。もなさーん。とまた寝室から大きな声が聞こえる。もうひとりの男の子だろう。あらら。時間立ちすぎたか。先生は困った顔をして私の方を見る。申し訳ないんだけど倉持お願いね。そのソファー広いし、二人寝れるようなやつだからだいじょうぶ。わたし栄純くんの面倒見なきゃだから。とそれだけ言うとすごく楽しそうな顔をして去っていく。まって、まって先生!!これ心臓とまっちゃいます!


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