まで
ぷ。あはははは。わははは。お腹をかかえて笑っているのは瑠鳴だった。ほかのやつらが修学旅行中、大会のある俺等はいけない。それは女子マネも一緒だった。そのため実習とか体育とかそういうのが多い。そして今はサッカーをしてた。まぁ、俺は自慢じゃないがサッカーなんてのはできない。下手だ。だからといってあんなに笑われることではないと思うだけどな。そんなに笑ってんなら交じるか?と倉持がいうと入る入る!といって瑠鳴は男子のサッカーに混じり始める。マジかよ。と思っていると案外瑠鳴は上手くって簡単に点を取られた。なんでお前そんなうまいんだよ!と倉持が言うと弟がサッカーやってるからたまに練習つき合ってるんだよね。と言われる。あれ、瑠鳴兄弟なんかいたんだ。俺と同じ気持ちだった倉持がお前兄弟なんかいたんだ。というと下に3人いるよといって楽しそうに兄弟の自慢をし始める。自分の一つしたに双子の弟と妹がいるらしくそのふたりは野球をしてるらしい。で、もう一つしたの弟がサッカーをしてるとか。家族揃って運動すんだな。とゾノが思ったことをそのまま口にするとゾノよりもうまいと思うわよ。野球。なんて言って挑発し始める。そこからまたわーわー言い合う。あれ以来少し心配だったがどうやら俺の気にしすぎか。純さんの話を聞いたあとだから余計に考えすぎたんだよな。まさか、そんな理由だったなんて話を聞くまで思ってもいなかったから正直まだ動揺してる。けどあんだけ楽しそうにはしゃいでる姿を見ればそれもだんだんと落ち着いてきた
瑠鳴。またあの先輩たちが瑠鳴に声をかけてきた。懲りない人だな。なんて思ってるのは俺だけ。ほかのやつらは誰だ。という感じだ。瑠鳴は大きく息をついてその先輩たちを睨む。先輩たちは怖気付きながらも話がしたいの。と言い出した。その言葉を聞いて俺はカッと頭に血が上りそうになる。それに気づいた瑠鳴がぽんと俺の肩を叩いて大丈夫。とつぶやいた
「どちらさまか知りませんけど誰かと間違えていらっしゃいません?私、2年生ですよ」
そう言うと瑠鳴はもうこの話は終わったと言わんばかりにボールを持ってまた蹴り始める。倉持たちも戸惑ってたが俺が気にするな。というと何かを察したらしく先輩たちに背を向けた。やっとあの人は前を向き始めてるんだ。邪魔すんなよ。そういう気持ちで先輩たちを少しだけ睨んだ
その日の部活の後、瑠鳴は俺の部屋に訪れた。そして俺の背中にもたれて座り、純にでも聞いたの。と聞かれる。それがなんのことかわかってるし、しらを切っても無駄だと分かっているから素直にああ。というと瑠鳴は純のおバカ。といってくすりと笑った。あの頃さ。私わかってなかったんだよね。自分の才能とか、そういうのも。努力してるから勝った。事実そうだった。けど、そう見ない人だっている。御幸ならわかるんじゃない?天才捕手なんて言われてさ。その分してる努力も見てくれないの。そういう不満がみんな溜まってたんだよ。大会総なめ。出場権を独占。そりゃいい気しないよね。そんなことにも気づけずに私はあの日を迎えた。思い返せば確かにたまにみんなの視線が痛い時もあった。けど、そんなのどうでもいいくらい私は哲が好きでさ。上手くなれば哲の力になれる。そう思ってただ努力し続けた。でもね、テニス部の人達の事だって大切だったんだよ。すごいプレッシャーかけられて苦しかったけど。勝つことでしかみんなを笑顔にすることができないし。だから負けないように毎日練習したよ。事故で、足をダメにして。悲しかったけどさ。もう一度みんなでやり直せるなら安いもんだって思ってたの。だからそのときみんなのホントの気持ちを知って怖くなって、そしたら余計に足が悪くなってね。精神的なものもきて、学校に通えないし、不安なのにだれも私のことに気づいてくれなくてさ。ああ、一人なんだな。って思ったらだんだん今までしてきたこと全部無駄に思えてきて、荒れちゃって。てっちゃんって呼んでた名前をわざとらしく哲なんて呼んで。怒ってますオーラムンムン。卑怯だよね。みんなに心配かけてるのが分かっても、怖くなってさ。また裏切られて一人ぼっちになるのが。だから誰とも関わりなんか持たくないって思ってたのに。御幸のせいで全部狂っちゃった。この間、てっちゃんと御幸が話してたの聞いて、ああ、自分ってバカだなって思ったの。もっと素直な人間だったら何か変わったかなって思った。でもさ、てっちゃんの気持ちしれただけで、救われたよ。だからありがとう御幸。
彼女に俺はそっか。とだけしか返せなかった。それいじょう喋れば声が震えてしまうとわかっていたから。もう結果なんてとうにわかってるけどさ。でも頼むから、最後の最後まで好きでいさせてよ。なんて言いたくても言えない。言えるはずがない
「私さ、一度も御幸の気持ちが迷惑だなんて思ったことないよ。ほんとに嬉しかった。ほんとに、返せないのが申し訳ないくらいに」
「え・・・」
「だから好きなだけ私のこと好きでいてよ。御幸の気持ちを否定しないで」
そう言うと彼女はこてんと俺の方に自分の頭を預けた。まだ好きでいていい。その言葉は俺を救った


救われない思いも救われる

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