初恋
稲実が負けて、鵜久森が勝ち上がってきた。その事実にみんな驚いて動揺する。でも試合を見ればその原因は明白。稲実のエースでピッチャーの鳴にあった。大きくなって帰ってくる。そう思っていた奴がそんな小さくなって帰ってきたことにどうしようもなく腹が立ち、俺はついきつい言い方になる。
ナベに相談されて俺の言ったことをみんなに話すと、俺は思いっきり怒鳴られた。けど、俺は間違っていない。ここにはみんな自分の意志でいる。仲良しこよしで勝てるんだったら俺だってそうしてるよ。そうじゃないから、俺たちは夏負けているんだ。だけどただ、倉持の言った「本当にやめようと思っている奴がこれだけのノートを取ると思うか」という言葉には言葉を継ぐんだ。ゾノに言われた引っ張るのがキャプテンだろって言うセリフに俺は頭を抱える。なんだよそれ、なんで俺がそういう役目なんだよ。キャプテンって、そんなことまで世話すんのかよ。野球ってのは自分がしたくてしてるんだから、したくないなら辞める。それだけの話じゃねぇのかよ。みんなが出て行った食堂で俺は頭をポリポリと頭をかく。ああ、どうしろってんだよ。わけがわからなくて拳を強く握り締めるとそっと背中にだれかの体重がかかった。その人間は何も言わなかった。ただそっと俺の拳をゆっくりと解いていく。それが解き終わると背を向けて俺にせをあずけた。そして突然腹を抱えて笑い出す。何を思い出したんだよ。と言えばいや、懐かしいなぁ。と思って。なんて言われて首をかしげる。みんな、というか今の3年も同じように毎日バカみたいに喧嘩してたなぁ。なんて思い出して。ああ、そういえばそうだったな。御幸は我関せずだったよね。むしろ笑ってた。どうよ。当事者になって。嫌味かよ。ぷぷ。結構堪えてるみたいだね。結構どころじゃねぇよ。ほんと・・・。ゾノ言い分だってわかる。けど、俺にだって俺の考えがあって、キャプテンっていうのはそれをいっちゃいけないのかよ。俺の考えは全部ダメなのかよ。そりゃ俺はずっとレギュラーだった。だからあいつらの気持ちはわからねぇよ。だけど、だから俺の主張は否定されんのかよ。訳がわかんなくて息をつまらせているといきなり瑠鳴が後ろから俺の頭を抱きしめる。よしよし。と優しく撫でられると自然と力が抜けて、思わず泣きそうになった。
とりあえず明日試合だからね。今は切り替えていこうよ。・・・おう。私の意見としては、まぁどちらもあながち間違ってないんだけど間違ってるよね。まず御幸はどうしようもない話だけどやっぱほかの人間の弱さを理解しきれない。だから無神経な言葉とか平気で言っちゃう。主張を貫くのはいいけどそこは直さないと。結局俺の悪口かよ。ほらほらすねない。話最後まで聞く。ゾノの悪いところは人に自分の主張押し付けんなって言ってるくせに自分の主張を御幸に押し付けてるところ。勝手に怒って、怒鳴って。それで最後は御幸まかせ。どの口がそんなこと言えるんだって話。あと倉持はよく見えてるんだからそういうところ、御幸にはできないんだし、サポートもっと出来たと思うよ。あと白州。中途半端な留め方が一番ダメ。はっきり、もっと自分の意見を言ってゾノのこともさっき止めるならちゃんと止めるべきだった。ほかにも次々に同学年の悪いところを上げていく。そして最後に、自分の悪いところをいくつも上げていった。それには俺と似たようなところも含まれていたりして本当にどうしようもないほど多い。自分より御幸のほうがましだよ。なんて言って励まされるとなんだか複雑な気持ちだった
けど、彼女のぬくもりは本当にぐじゃぐじゃな心臓には優しかった


壊れかけの心臓

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