08

合宿初日。瑠鳴は最初みんなのバッティング練習を見ながらその後守備練習のバッティングをすることになった。思いっきり振り続ければもちろんあいつは疲れるわけで、でも手を止めるわけにも力を抜くわけにも行かない。と思ってるんだろうな。ただひたすらにバッドを振り続ける。午前の練習を終えた頃には瑠鳴はくたくたになっていた。一人でこんなに振り続けるなんてほんときついだろうな。しかもどのバッティングにも手を抜かずに。ちゃんと毎日欠かさずランニングして体力つけていようとも夏の暑さもある。このあとの練習なんだっけ。とりあえずあいつ休ませねぇとやばいだろ。そう思っていたらすでに3年生たちが動いていた。やっぱ、先輩たちの方が気づくのはえーよな。
合宿が始まってはや数日、着々と疲れがたまっていた。授業中はもうほんとに眠い。隣を見れば爆睡中の彼女に大きくため息をつく。そこまで頑張ってんのかよ。そんなにお前に頑張られたら俺、手ぇ抜けねぇよ。全力でやるしかなくなるだろ
合宿三日目になるとやっぱり差が出始めていた。当たり前のことだけど瑠鳴は少し悩むような顔をして3人のことを見ていたのでどうした?と声をかけてみる。私、あれと同じは嫌だ。は?なんのことだと聞く前に瑠鳴は去って行きレギュラーメンバーにバッティングを教え始める。まさかとは思うけど、瑠鳴1年と貼り合ってんのか?体力を。・・・・。なわけねぇとは思うけど・・・。多分夜にはあいつら復活するだろうな。瑠鳴にわざと聞こえるようにそう言うとぴくりと肩がはねる。やっぱりはりあってんのかよ。いくら1年とは言え一応男だぞ。体力負けたって仕方ねぇだろ。お前毎日練習してたわけでもあるまいし。走り込みをしてても体力を鍛えるには限界がある。
「瑠鳴。そこまで男と張り合う必要ないだろ」
「私、女だからって理由で諦めるの嫌なのよ。それに女だから出来ることだってあるのよ」
そういうと瑠鳴はいきなりボールを握って俺の方に思いっきり投げてくる。もちろん女子の速さ。降谷のような剛速球が来るわけじゃない。普通にボールを受け止めようとするといきなりボールが綺麗に沈む。慌てて手を下に沈めるとギリギリのところでボールを捕ることができた。おいおい、マジかよ。この変化球・・・。動揺しながら瑠鳴を見るとにこっと笑みを向けられる。女の子って案外手先器用なもんなんだよ。周りの動揺も気にせず瑠鳴は気持ちよさそうな顔をしてそのままグラウンドを去っていった。俺はすぐに哲さんのところに駆け寄って今の知ってたんですか?!と聞くと知らない。と言われる。
「え?知らなかったんですか?」
「ああ。初めて見た。隠れて何かをしてるのは知ってたがまさかあんな武器を作り上げるとはな」
練習だって厳しい中もしかしてあれを完成させてきたのか?どんだけ本気で張り合ってんだよ。バッティングも小湊に負けないくらい振りまくってるのを見たことがある。だけどまさか降谷や沢村にまで張り合う気かよ。どんだけ負けず嫌いな人なんだ。思わず笑いが漏れる。あんなに本気でサポートしてくれるやつ他にいるかよ。ほんと、手が抜けぇねぇし、めんどくせぇやつ。だけどそんなところがやっぱり好きだ。なんてまた思ってしまった


再び恋に落ちる

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