4ヶ月ぶりに彼氏から連絡がきた。これは喜ぶべきなのだろうか。どうなのだろうか。とても反応に困る。てっきり私はもう終わったのだとばかり思っていたのに。まだ、まだこの人は終わってないと思っていてくれていたのだろうか。それともはっきりと別れを告げるためだろうか。いろいろ考えたが後者だろう。いい人が見つかって、その人と一緒になりたいとかおもって、途中で邪魔されないようにしっかり釘をうちたいのだろう。最後に会った時も、とても冷たい対応されたことを今でも覚えている。恨んでるとかじゃくて、そのときはただ悲しかったから。でももう大丈夫。覚悟はこの4ヶ月で出来ていた。きっともう二度とできないほどすごい大恋愛をしたと思う。あんな素敵な人と二度と出会うことなんてできないだろう。本当ならずっと一緒にいたかったけど、それは私のわがままだ。私なんかがいつまでもあの人を引き止めていられるはずがない。少し時間を作れないか。飯でも行こう。こんな内容のメール、別れ以外何を話すというのだろうか。もしそれ以外の話をするのだとしたら、それはとてもおかしな話だろう。金曜日仕事が終わった後なら空いてます。と連絡を返すと待ち合わせ場所を決めて連絡の取り合いは終わる。
金曜日の朝。お昼頃に起きてのろのろと動き出す。実は会社は今日特別休みだったのである。仕事のあと、なんて言ったのはただ単にまだ整理しきれていない部分を整理するため。覚悟してはいたけれど、どうしようもないほど私の中では彼が残っているから。それを消してしまいたかった。消えないとわかっているのに、ずっと消えればいいのに。なんて思った。ほかの人と幸せになる彼を心から祝福できるかどうかと聞かれれば即答で否と返す。当たり前じゃないか。彼が心離れようとも、私は本当に好きたったのだから。今でもどうしようもないほど好きなのだから。付き合い始めはギクシャクすることも多かったけれど、だんだんと仲良くなって。もう4年も付き合ってて、もう少しで5年の記念日だったんだよなぁ。そのときは、それを口実に自分から連絡して、もう一度仲良く笑いあいたいって思ってたんだけど。ダメになっちゃった。
「夜なんて来なければいいのに」
バカみたいな言葉をつぶやいた。子供みたいにダダこねて。カッコ悪いなぁ。こんなんだから愛想つかされちゃうんだろうなぁ。お布団に潜るとすごく暖かくて、なんとなくあの人と一緒に過ごした日々が思い浮かぶ。楽しくて暖かくてたまらなかった。ああ、もうほんにこれで最後なんだ。そう思うとだんだんと悲しくなって涙がこぼれる。今泣いちゃってもいいかな。会った時に泣いてしまわないように。ああ、でも目を腫らしたら泣いたのバレちゃうからほどほどにしないと。ああ、もうほんとに重たい。何もかもが。だんだんとまぶたまで重たくなってくる。寝てばっかりだな。なんて思いながらも意識が沈んでいくのに抗うことなく素直に受け入れた。
携帯のバイブ音が忙しなくなる。止まったかと思ってもすぐに動き出し。うるさいと思った。寝ぼけながらも携帯を握って通話ボタンを押してもしもし。というとお前今どこにいるんだよ?!と大きな声で叫ばれた。その声ではっと目を覚まし携帯の時間をみて頭の中が真っ白になる。1時間も寝過ごしてる!寝過ごしてしまったと素直に謝れば彼は大きなため息をついた。ああ、呆れられちゃった。このままだとこの電話で別れ話を切り出されそうだ。せめて、せめて最後に会いたかった・・・。また泣きそうになっていると家から出るなよ。と言われて電話を切られる。
もうわけがわからなくてボロボロと涙がこぼれた。泣き過ぎのせいか頭もグラグラする。苦しい。助けてよ・・・・
「一也・・・・」
久々に口にしたその言葉はひどく優しくて、愛おしくて。より涙がこぼれた。
次に目を覚ますと既に夜中になっていた。ウトウトしながら辺りを見渡せば自分の寝室だった。あれ、いつの間に移動したんだろう。不思議に思いながらもまだ覚醒しない頭にはその疑問は受け付けられないもので、だんだんと睡魔がまた襲って来る。ガチャっと扉の開く音がしてそっと視線を送ると驚いた顔をした一也がいた。でもそれ以上に驚きすぎて間抜けな顔をした私もいた。起きてたのか。う、うん。今起きた。・・・。体起こせるか?へ?えっと、あれ?もしかしてお前この状況理解してないのかよ。う、うん。あれ?あれ?えっと、なんでここに?私どうやって寝室に?あれ?え?かなり混乱する私に一也は順々に丁寧に説明してくれた。まず、私たちは今日会う約束をしていた。なのに私はその約束の時間を1時間過ぎても来なかった。すいません。なので電話をかけたところ家にいるというので家にやってきてインターホンを押すが反応なし。渡していた合鍵で入ってきたところ倒れ込んでいる私を発見。慌てて駆け寄ると只寝てるだけ。だけど熱がひどいのですぐさまベッドに連れて行き冷えピタとか貼って看病。今はとりあえずお粥を作ってきてくれたらしい。そういえば一也料理得意だったよね。でもほんと優しい人だな。約束に遅刻したのに怒らずに看病してくれるなんて。前に付き合ってた人は容赦なく怒るような人だったと思う。誰かと比べるなんて最低な行為だけど、そのくらい一也は素敵な人なんだって改めて思った。
とりあえず飯食って薬飲んでさっさと寝る。んで風邪なおせ。うん。それから・・・・話したいことがある。話したいことというのはやっぱり別れ話だろうか。できることなら今はそんなの聞きたくなかった。もう本当に、泣いちゃうよ
「へ?」
いきなりぼろぼろと泣き出した私を見て一也は驚いた顔をする。何やってるんだ私。慌ててごめんなさい。と謝って急いで涙を拭くけどなかなか涙は止まらない。あれ、あれれ。おかしいな。どうしちゃったんだろ。必死に拭いつづけても全く意味がない。最後には嗚呼までこぼれる。ほんとに、何やってるのよ私。最後くらい、いい女でいたいのに。なんでこんなふうになうちゃうの。そんなことを考えているといきなり暖かい温もりに包まれる。お布団でもなく、とても優しい温もり。そう、いつのまにか一也に抱きしめられていた。ゆっくりでいいから。耳元で囁かれた言葉に安心して涙はゆっくりと引いていく。少しだけまだひくついていたらそれが止まるまで一也は抱きしめてくれていた。
なぁ、なまえ。ああ、言われるんだ。ここで別れを。でもさっきまで動揺していたのが嘘のように心は、穏やかだった。たぶん、一也に包まれてるから。少しだけ、安心してるんだ。ちゃんと今なら受け止められる。きっとまた泣いちゃうけど、それでもちゃんと聞けるよ。俺たち、結構長いあいだ付き合ってるよな。うん。もう随分立つね。だからさ、そろそろ結婚を前提に同棲しねぇ?一瞬自分の耳を疑った。思わずえ?と聞き返してしまう。いや?と聞かれればふるふると首を横のフル。嫌なわけない。でも、でもどうして。今までそんな話一度だってしなかった。それに・・・・
「別れ話じゃなかったの・・・?」
「は?」
思わず思っていたことが口に出る。しまった。と思っても既に遅く、一也はどういうこと?と聞いてくる。仕方なく自分の思っていたことをありのままに話した。そしたら一也は困った顔をしてごめんな。不安にさせて。と謝ってくる。一也は悪くない。信じれなかった私が悪いんだ。どうして私はちゃんと彼を信じなかったんだろう。自分が恥ずかしくなった。こんな自分でいいんだろうか。一也の隣にいるのが私で本当にいいのだろうか
「ホントはな。今日夜は結構お洒落なホテルで飯食って、そんときこれも渡すつもりだったんだ。連絡を取れなかったのはなかなか気に入ったのを見つけれなくて焦ってたのと、結婚のこと騒がせるだろうから迷惑をかける周りに挨拶回りをしてたんだ」
ポケットをガサゴソと漁って出てきたのは小さな箱。それを一也は私の手に乗せて開けてみて。というので言われたとおりその箱を恐る恐ると開ける。中には綺麗な指輪が入っていた。つまり、一也のさきほどいっていたことは事実なのだ。嬉しさのあまりまた涙がこぼれた。おいおい、こんな時に泣かれたら泣くな、なんて言えねぇよ。そう言ってまた一也は優しく抱きしめてくれる。なぁ、返事は。と聞かれて私はすぐにディナーにおいしいお粥を作ってくれる旦那さんがいいです。と笑って答えた


ディナーと金曜日

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