今日も、雨だ。外は土砂降りのこの中、学校に向かえというのは本当に鬼畜だ。少しばかり遠い場所に住んでるわたしは早目に家を出ないとこういう時は電車が本数を減らされたりする。豪雨のとき傘はあまり意味をなさない。だから私は傘とレインコートという二つのアイテムで雨をしのぐ。そんなことまでしても学校につけばびちゃびちゃになっているのだが、それは致し方ない。鞄は防水バッグなので大丈夫だけど。
やっとついたと息をはくと、見慣れた男が前から歩いてくる。そいつは私を見つけると驚いたかおをして近寄ってきた。
「あれ。なんでお前がいるの」
「あれ、御幸」
「今日警報出てんじゃん。学校なくなったけど」
「え?家出る前まで出てなかったのに・・・」
「うわ、おつかれさま」
まじか。とショックを受ける。さっきよりも強くなってきている雨をみて今引き返すのは無謀だと思ったのでしばらく学校で避難しておくことにする。御幸はなんでいるの?俺は忘れ物とりに。そっか。レインコートを脱いで傘を閉じ、傘立てに突っ込む。レインコートは畳んで持ってきた袋にしまう。上履きをはき替えて教室に行く準備は完了。
「御幸はもう取りに行った後?戻るの?」
「え、あ、あー。まぁ」
「なに?歯切れ悪いな」
「上半身濡れて服の中すけてんだけど、お前」
「え?!うわ、ほんとだ」
レインコートと傘でも防げなかったらしい。これも乾かさないと電車乗るとき恥ずかしいな。仕方なく乾かすためにシャツを脱ぐことにした。ボタンに手をかけぶちぶちっとはずしていくとちょっと待て。と御幸に手をつかまれて止められる。
「一応聞くけど俺の性別わかってる?」
「え?御幸が女とかガタイよすぎなんだけど。うける〜」
「うけねぇよ。わかってんなら男の前でそういうことするな」
「別に、中にキャミソール来てるし。そんな気にすることじゃないよ」
「今すぐ胸揉まれたかったら脱いでいいけど」
「堂々と変態発言ありがとう。遠慮するわ」
仕方なく脱ぐのをあきらめて時間つぶしに自分の教室まで向かう。あとあと思ったけどやっぱりシャツは脱ぐべきだった。キャミソールにまで浸みてきて寒い。自分の席に座って外を眺めると忘れもん取ってくるわ。と御幸はどこかに行く。どうぞご勝手に。くらいの気持ちで見送った。おかげでやっとシャツを脱ぐことができたけどすでに中まで浸みて、さむいったりゃありゃしない。
風邪ひきそう。先生誰か送ってくれないかなぁ、車で。この豪雨のなか一生懸命来たのに。警報がそのあと出るなんてひどすぎる。これだから遠くから通う学校って嫌なんだよね。行くにも帰るにも時間がかかって、みんなよりも無駄に早起きしないといけないし。今日寝坊して七時半に起きちゃったよ。十分で準備して出てきた。とか言ってる人もいるけど、私はその時間に起きたらすでに遅刻決定だ。
がらがらってドアの音がしてドアのほうを見ると御幸がいて、傍まで来ると上からばさっていきなり何かをかぶせられた。驚いて穴の部分から首を出して文句を言おうとすると似合う似合うといって御幸が笑う。何のことだ。と自分を見ると大きなTシャツがかぶせられたものの正体だとわかった。
「これ御幸の?」
「そ。俺、寮暮らしだからすぐそこなの」
「・・・・使用済み?それとも私に着せたものをオカズに」
「はっはっは。女の子がそんな汚いこと言うのやめようか。俺どんだけ人でなしな奴なんだよ」
「うそうそ。ありがと。ちょっと冷えてたし助かった」
「どういたしまして」
ぽつりぽつり。降り続ける雨は一向にやまない。強さが増していくばかりだ。練習はないの?ない。こんな天気だし、筋トレくらいしかできねぇし。それならちょっと久々に休養するかなって。後輩に休んでる暇はありません!とかいう子いないの?いるいる。つかさっき一度戻ったときにそう言いながら散々追いかけまわされたっつの。あはは、かわいいね。その子今度紹介して?
「今は野球で忙しいからあいつもお前の相手してる暇ねぇよ」
「じゃぁいつになったら忙しくなくなるの?」
「大会がないから落ち着くって意味では、冬かな。でもその時には俺の彼女だしな」
「は?何その決定事項。」
「決定してるよ。全国行ったら、付き合う。そういう約束だろ?」
「・・・そんなかわいい後輩いるって知ってたら全国制覇を条件にすればよかった」
「どっちにしたって変わんねぇよ。なに?俺じゃ不満?」
「いーえ。愛してますとも。未来の彼氏さま」


れいんどりーむ

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