僕達そろそろ結婚しない?とうとつに言われた言葉に少なくともどこぞのアイドルが実は結婚していた!なんて報道よりも驚いた。一瞬聞き間違いかもって思ったけど聞いてるの?って顔を近づけて聞かれて夢じゃないと自覚する。一体なんでそんな話になったのか。そんな雰囲気を感じたことは無かった。むしろ彼はたまにこうやって会うだけで満足する人で結婚願望なんてまだないと思ってた。
「春市くん、なんで急にそんなこと言い出したの?」
「いやだった?」
「そんなことはないけど急すぎて飲み込めない。」
「ほんとになまえちゃんは素直だなぁ。」
「自他共に認めるほど頭良くないからわかりやすくいって。」
「うーん、僕もうまくは言えないけどいい?」
「困る。」
「えー、そんなむちゃブリだよ」
春市くんは少し考えるような仕草をして、迷った末にとりあえず話聞いて。それで伝わらなかったらまた改めていうから。となんとも男らしい判断を下した。たんに面倒になったともいうけど。
家族っていいな〜って思ってたのは実は前からなんだ。自分の親もありがたいことに二人ともいて仲のいいところずっとみてたから。理想の夫婦像?みたいなのだった。でも俺は社会人になっても野球をやめれなくて、社会人野球したり、割と今自由にやらせてもらってる。なまえちゃんにそのことについて悪いなぁ。って気持ちがあったから、なんとなく結婚してくださいなんて言えなくて、それでもなまえちゃんは人並みに結婚願望あったし、何も言わなかったらたぶんいつか違う人に、結婚してれる人のところに行っちゃうんじゃないかなって思ったんだ。そんなのいやだった。絶対に。だから、貯金をすることにした。飲み会とかもなるべくなくして、自炊して、少しずつ貯めた。休みの日たまにしか遊べないなまえちゃんとの日も節約して貯めて、やっと貯まった。2人で暮らすためのお金。だから言いに来たんだ。
「俺と結婚してください。」
「本気とかいてマジと読む?」
「読む読む。冗談でこんな事言わないから」
「わたしでいいの?」
「なまえちゃんがいいの!」
返事くれないの?って言われてうーん、って悩む振りをしてうつむく。途端にこぼれてくる涙。震える肩。そんなすべてを察してる春市くんはふんわりわらって不安にさせてごめんね。っていうの。君と結婚したい。その思いが一方通行じゃなかったことに心から安心した。
「遅くなったけどご両親に挨拶させて」
「うちの親、お見合い写真送ってくるから怒って喧嘩してる最中なんだけど大丈夫?」
「なおさら行かないと。俺がいるって言いに行くためにも」
「説得するの手伝ってくれる?」
「もちろん。」
「春市くんのご両親に挨拶いってもいい?」
「たぶんうちの親は大歓迎するよ。」
「じゃあ、結婚する。」
ぐすん。と鼻を鳴らしながらそう返事をすると春市くんも珍しく目に涙を浮かべて嬉しそうに笑い、ありがとうっていうんだ。

花になりたい。

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