もし死ぬ前に最後に会える人がたったひとりな貴方は誰を選びますか。テレビの中にいる女性がゲストの男の人に訪ねた。その人は爽やかイケメンと言われてる人だからやっぱり答えはわかりきってて恋人ですね。なんて言うのだ。なんでこの人はそんな簡単に選べるのだろうか。私なら無理だ。たとえどれほど愛おしいと思える恋人がいても最後に会えるっていうなら、それがほんとに最後なら、即答なんてできない。
「亮介なら、なんて答える?」
「まぁ、春市かな。」
「即答するんだね。そして安定の私じゃない。」
「そういうお前は?」
「そんなにすぐ決めれないよ。会いたい人なんていっぱいいるもん。」
「例えば?」
「お父さんとお母さん。それにおばあちゃん。友達にも会いたい。うちで飼ってる猫にも会いたい。」
「欲張りだな」
「そこが私のいいところなんですぅー!」
私を選んでくれないのは今に始まったことじゃないしいいけどさ、そんなに簡単に答えなくてもいいじゃん。迷うそぶりくらい見せてよ。むー。って拗ねる。
だいたい、死ぬ前に会えるのがたったひとりっていうのが悲しすぎるのだ。いっぱい回って何が悪い。何人でも会えるだけ会いたいじゃんか。たった一瞬でも。
「とりあえず、俺以外にしときなよ。」
「なんでそういうこというのよ!」
「だってどうせ死んだ後会えるじゃん。」
「死んだあと?」
「死後の世界で。」
死後の世界でどうせずっと一緒なんだから、その前の日くらいほかの誰かにあってきなよ。にっこり意地の悪い笑顔を向けられる。拗ねてた私が馬鹿らしい。そんな空想の世界を考えるなんて亮介らしくない。けど、嬉しい。その言葉が。例え言葉だけで終わるものだとしても。こんなに素敵なセリフ他に知らない。普段聞けない愛してるよりも、嬉しいかもしれない。
「やっぱり私欲張りだからみんなにあってくる。」
「ほんと、ブレないね。まぁ好きにすれば?」
「好きにするよ。だから最後は亮介に会いに行くから。」
「俺に?」
「たった一瞬でも、いい。生きてる最後の一瞬は亮介がいい」
「贅沢もの」
「うるさい。」
ワガママの贅沢者でこそ私だもん!って胸を張っていうと亮介はクスクスと笑い、ない胸をはってもかなしいよ?と憎らしいことを言うのだ。

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