考えたんだ。何をあげれば喜ぶか。この前ほしがってた鞄?それとも使いやすい腕時計?それとも激辛手料理でも作ろうか。あれも違うこれも違うって悩んで、結局わからなくて人に頼った。
高校のころ、あなたが青春のすべてを捧げた野球部の仲間。あなたの先輩はよく知らないから、同期と後輩に。伊佐敷くんは相変わらずの少女漫画脳だったから内容は言わないけどそれは無理!ってなってパスしたの。滝川くんはホラー映画とかか?っていうの。そんなの私まで見るハメになるじゃない?いやだって却下した。後輩に聞いたらこの間あなたが気に入ってたお酒がある。って教えてくれた。それもなかなかいいなっておもってとりあえず候補にして保留。メガネのイケメンって騒がれてたあの人はいらないことしか言わないから無視したの。
その後はあなたの家族に相談してみたの。弟くんはすごく悩んでメガネやスピッツと同じことを言うの。いやいや、それ喜ばないから。って否定したけどそれだと俺も嬉しいです。ってあなたそっくりの顔であなたにない可愛い笑顔を向けられて死ぬほどときめきました。弟かわいいですね。ください。
って、それはまた今度の機会に話し合うとして話を戻すね。そのあとあなたのお母さんにもばったりあったから相談してみたの。そしたら1冊の雑誌を買ってくださって、申し訳ないのとか中身の内容とかほんといろいろ困った。
こんなに悩んでやっと決めた!っておもってあなたに、亮介に今日あいてるかってきいたら仕事っていうんだもの。しかも休日だったものをやりたい仕事があるからって入れたの聞いて私が激怒して喧嘩になったのがつい先週のことです。
まあ優しいから誕生日だし、プレゼントのひとつとして許してやらないこともない。ほんとはもう上げるもんか!って思ってたけどなんか相談した人みんなにそういう問題じゃないだろ!って怒られたから、もう怒るのやめました。きっと素直に謝れない亮介のために先に折れてあげます。この前は言い過ぎてごめんなさい。あと誕生日おめでとう。
さて、誕生日プレゼントですが本日のみお渡し可能となっております。本日0時までにお取りに来なければ数日前に父から贈られてきたなかなかイケメンと思われる写真の人物にあげようと思います。そうなってもいいかなと諦め半分、希望半分です。いらなければ本日は0時過ぎてからご自分の家にお帰りになることを推奨致します。そのときはポストにここにある合鍵は入れておきます。
二つ目のプレゼントです。私の残りの人生をあげます。


ハァっハァっ。途切れる息。苦しいっていう気持ちよりもとにかくいかないと。って必死だった。早く帰らないとあいつ泣くから、絶対。こんなわかりにくいやり方して、ホントバカだろ。だいたい喧嘩したのだってお前が急に怒ったんじゃん。確かに空けといてって言われたのに仕事いれたのは悪かったと思ってる。だからってこんなやり方、ほんとバカ。
鞄から鍵を取り出して急いで鍵を開ける。靴を慌ただしく脱いで玄関に足を踏み入れるとなにかにぶつかった。明かりをつけて下を見るとプレゼントが置いてある。不思議に思いながらとりあえず拾って進むと今度は片手サイズの箱があった。簡単に開きそうだからあけるとそこにはお洒落な腕時計が入っている。まさかと思ってさっきひろったプレゼントの包装を解くとそこには俺が気になってた鞄が入ってた。ダイニングに入ると机の上には赤々とした料理が並んである。見た目でわかる激辛手料理だ。
テレビ前のテーブルの上にあったのは最近販売された人気ホラー映画。冷蔵庫を覗けば中にはお気に入りのワインがはいってる。でも俺の一番欲しいものはどこにもない。もう一つ、寝室にしてる奥の部屋をあけるとそこには俺のベッドでぐーすかねむってる女がいる。
おい。と揺さぶるともう少し。とかなんとか言っているので鼻をつまんで深いキスをしてやれば息苦しさから目尻に涙をためゆっくりと瞼が開く。それに気づいて鼻を離してやったけどキスはやめずに、むしろ激しくくちづけた。
苦しいとか、まってとかいろいろ文句を言われたけど誕生日なんだからと好き勝手に続けた。満足した頃には完全にダウンしてるなまえにお前の残りの人生くれるんだろ?って耳元で囁くように聞けば顔をまっかにしてバカと弱々しく返事した。

「カバンの中にある手帳のカバーの隙間に挟まれた手紙。なにあれ。気づかなかったらどうするつもりだったわけ?」
「書いてたでしよ?内容のままだよ」
「イケメンの写真って、なに?浮気?」
「それはあとで見せてあげる。」
「あの大量のプレゼントはなに?」
「それも手紙書いた。今年迷ったプレゼントたち」
「全部俺にくれんの?」
「好きなものひとつ、選ぶ式。わたしも含めてあの中で一番欲しいもの選んで」
そんなもの決まってる。でも口でいうにはなんか全部こいつの思い通りみたいでムカつくからその代わりにキスで答えた。可哀想だから売れ残りそうなお前にしといてあげる。なんて強がって。
「亮介は結局伊佐敷とメガネくんと弟くんが考えたプレゼントにするんだね。」
「は?」
「伊佐敷が言ったんだ。そろそろ結婚したらどうだって。誕生日プレゼントはわたし。はーと。的なんしたらいいだろって」
「なにそれ。少女漫画読みすぎ」
「だよね。メガネくんもニヤニヤしながら同じ事言うんだもん。あいつ苦手だ。胡散臭いのは亮介で充分なのに」
「よくいう。」
「弟くんがそろそろ姉さん。って呼ぶ仲になってもいいんだよっていうんだ。ちなみにお義母さんには結婚雑誌もらった。」
それでは、ファイナルアンサーでよろしいですか?という質問にエターナルアンサーというとお馬鹿な俺の婚約者はは?と間抜けな返事をした。

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