好きだよ。とか、愛してるよ。なんて言葉聞き飽きるよね。ひねくれた性格の私は本気でそう思っていた。この人がそう言ってくれるから、聞き飽きたなんて言えるだけなのに。贅沢な話だ。そう自覚がありながらも彼氏である御幸に向かってこんなこと言える私はどれほど図太い神経をしているのだろうか見当もつかない。お前ホント思ったことそのまま口にするな。今回ばかりは御幸も呆れただろう。なんて思っていたのに意外にも御幸は優しい顔をしていた。愛おしい。そんな感じの顔をして私をジッと見つめる。その視線がなんだか恥ずかしくて私は顔を逸らす。言葉だけの愛情表現じゃお前は満足できねぇって話だろ?。その言葉を聞いて驚いて御幸の顔をもう一度見るとニヤニヤと楽しげに彼は笑っていた。なんでわかったの?本当にこの人は人の心を読むのが上手だな。普通あんな言い方したら大抵の人は怒るのに。そうだ。私は言葉だけじゃ足りない。贅沢ものだから。もっともっと、わかりやすい愛が欲しい。キスもそれ以上のことも、いつか足りなくなる。もっともっとほしくてたまらないんだ。だって、不安なんだもん。御幸にいつか捨てられるんじゃないかって。私たちはまだ高校生で、本気で未来を考えてのお付き合いなんてしない。そんなことはわかってる。けど、けど・・・。私は、ずっと御幸と一緒がいい。離れたくない。そんな贅沢な願いがあるんだよ。だから、お願いだから。この不安を消してよ。今だけでいいから。今ならあなたの嘘なんでも信じるから。そんなに俺信用ないわけ?少し寂しそうな顔をする御幸を見れば少しばかり罪悪感がでた。信用がないんじゃない。でも、不安で仕方がないの。自分自身に自信がないから。卑屈でごめんね。そう謝ると御幸ははっはっは。と楽しげに笑う。手、貸してみ。と言われて素直に右手を差し出すと反対だと言われ疑問を感じながらも左手を差し出した。そして私の小指に御幸の小指が綺麗に絡められる。
「大人になったら、ここに俺のモノっていう証はめてやるから。それまでこれで我慢しろよ」
そう言ってぎゅっと小指を小指でしめる。少し痛く思えるくらいぎゅって。そっと話せば小指には真っ赤な輪っか状の跡が残っていた。
「プロ野球選手の給料三ヶ月分の指輪ってどんなんだろう」
「すんげぇダイヤが付いてるんじゃね?」
「じゃぁ、私も御幸になるんだ」
「そうだな。だからそろそろ呼び方変えろよ。将来困るだろ?俺の未来の奥さん」
そう言ってニンマリと笑う彼の小指を今度は私がギュッと握った

赤い指輪

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