少し飲みすぎたかな。と思いながらも歩けるのでそのまま電車で帰ろうとするとみんなにあれ?家こっちじゃないの?と聞かれて実家出て暮らしてる。とだけ教えた。お会計を済まし、また来年集まろーねー。なんて言いながらみんなわかれていく。数人方向が一緒なので一緒に歩きだそうとすると少し離れたところに目が行く。あれって・・・。慌ててごめん。先帰る!と叫んで走り出す。お酒の入った体には少々厳しいことだったけどとにかく急いで走る。あと少しのところでふらつきそうになると抱きとめられてそのまま何も言わずに車の中に押し込められた。後部座席に寝かされて、そのまま御幸は運転席に移動し、車を動かす。見つかっちゃったかな。みんなに。御幸のこと。御幸とはバレてなくても男が迎えに来たってくらい話してそうだな。どうかその話題が幼馴染のところに行きませんように。と思いながらゆっくりと目を閉じた。
ちゅっとリップ音が鳴る。息苦しさを感じて意識を戻すと御幸に口づけられていた。まったく、嫉妬か。なんて思いながらもそれを受け入れた。そっと離れていかれるとなんともさみしい気持ちになり、御幸にもう一度キスをせがんだ。酔った勢いだ。そう言ってしまえばいい。そんな事を考えながらもう一度キスをする。お前、キス好きだよな。ふっ・・ん。すき。可愛い顔してる。そういうとくすくすと御幸が笑う。じゃぁ、お前からキスして。んー。ちゅっと軽く唇を合わせるともっと、といって御幸が口を近づける。でも自分からはしない。そのオネダリに答えるように何度も唇を重ねるとぺろりと唇を舐められた。たぶん深くって言ってるんだろうけどやり方がイマイチわからない。こんなことならネットでもなんでもいいから調べておくべきだったかな。とりあえずぺろりとわたしも唇を舐めて御幸のやるような事を真似てみた。きっとうまいとかそういうのじゃなくて御幸には私からやった。ということに意味があるのだ。それがわかってるから怖くはなかった。下手くそ。とかいうような人じゃない。もし言ったとしてもそれはそれは愛おしそうに言うのだろう。まったく、おかしな人だ。そしてかわいそうな人だ
「なぁ、あいつ誰」
「あいつ・・・?」
「同窓会の後一緒に帰ろうとしてた奴ら。男」
「たくさんいすぎてわかんないけどもと同級生。小学校の」
「俺も一緒の学生時代過ごしたかったな」
「そしたらきっとこうやって仲良くなることも、恋人になることもなかったよ」
私がそう言うと御幸は困ったような顔をしてもう一度口付ける。いいじゃないか。私はこの出会いをなかなか気に入ってるのだから。そんなに不満が?と聞いてみると知らないことばっかで嫌になる。といわれ笑ってしまう。いってないことが多いのはわたしも御幸もお互い様だ。御幸が見せるのは表面上の手のひらだけ。わたしはその手のひらに入って自分の手のひらを見せない。どっちも一緒だよ。
この関係に後悔があるとするならきっと始まり方だろう。もし、もっと違うロマンチックな関係であったら・・・。いや、あの関係だったからこそいま恋人になってるんだろう。ただそのおかげで人には言えない。なんとも面倒なものだ。関係というものは。始めりというものは。
「いまの好きって気持ちだけじゃ、だめ?」
「その気持ちが何があっても消えないなら、いいよ」
「ありがと」
そういってもう一度キスをしてまたベッドに沈む



キスに溺れたのか


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