「この間ね、久しぶりに栄純くんと二人でお話したんだ」
私がその話をすると御幸は面白くなさそうな顔をしてあっそ。とだけいう。こういうところわかり易すぎていいのかどうか・・・・。栄純くんに御幸は一生付きまといそうですね。とか言われてね思わず笑っちゃった。という話もすると御幸はむすっとした顔で私を見る。すねちゃった。くすくすと笑うとなんだよ。というので御幸のそばに行って優しく頭を撫でる。大丈夫。私は御幸以外の人を見たりしないよ。御幸だけだよ。何があっても。・・・・。俺がもし違う女と浮気しても?うん。もしお前のこと忘れちまっても?うん。もし御幸が私のこと嫌いになっても、違う人のところ行っちゃっても、私のこと何もかもぜーんぶ忘れちゃっても、私だけはずっと好きでいてあげる。何それ反則。ふふ。ギリギリ反則じゃありませーん。そんなことを言いながら二人でじゃれてくすくすと笑い合う。やっと機嫌が直ったようだ。
「ああ、でも倉持にこの話したらそんなときは俺が御幸以外のやつ紹介しまくって違うやつ見つけてやるって言われた」
「お前の、兄貴こわすぎ。」
「そうそう。洋一お兄ちゃん私大好きだから」
今度倉持に妹さんくださいとか言ってみるか。なんて御幸がいうから思わず笑ってしまう。それ絶対にあげないっていうと思うよ。じゃぁ、俺と駆け落ちすることになるな。この歳で駆け落ちか。悪くないね。置き手紙とかして最後には探さないでください。なんて定番の言葉でも入れて二人きりの旅に出るのも悪くない。でもやっぱりそうしたらみんなが恋しくなるから戻ってきたときはいっぱいギュッと抱きしめたい。
「なぁ、もなすき」
「私も御幸のこと好きだよ」
「俺のほうが絶対好きだ」
「それはないよ。だって御幸は私のために野球は捨てれないもん」
でも私は捨てれるよ。自分の仕事も、唯一の特技の料理も。全部捨ててあげれる。御幸のために捨てるなら惜しくもなんともないんだ。だから私の方が好きが大きいと思う。別にでも御幸が私のために野球を捨てれないのが嫌だなんて思わない。むしろ捨てないで欲しい。だって御幸にはどうしたって必要なんだから。野球のなくなった御幸なんて御幸であって御幸じゃない。わたしは今の御幸が好きなのだ。それでたとえどんな辛い状況になったとしても意見は変わらない。
「俺はお前の我が儘聞きたいんだけどな」
「いっぱいあるよ?いいの?」
「おう」
「じゃぁね、いっぱい好きって言って」
帰ってきたらただいまって言って。辛い時は辛いって言って。苦しい時は苦しいって言って。野球のために私を捨てたっていいから、野球だけは捨てないで。怖い映画は一緒に見て。また青道の話をたくさん聞かせて。あとね。まだ続けようとすると御幸にぎゅっと抱きしめられる。もうやめろといっているんだろう。そんな聞き分けのいい女みたいなセリフ、いうな。そんな女になりたいの。俺はそんなの望んでねー。御幸との未来を本気で考えるとするなら必要なことよ。俺は浮気だってしないし、お前が意外の女なんか好きにならねーよ。うん。わかってる。もしもの話だよ。もしもも考えんな。備えあれば患いなしだよ?そんなのいらねーから・・・。わたしにはきっと必要になる。
「だけどね、覚えてて」
すっかりしょげかえった御幸の頬を両手で包んで鼻先にちゅっとキスを落とす。
「私はどんな時も御幸の言葉を信じてるし、御幸を信じてる。だからいっぱいいっぱい無理してきていいよ。私はずっと待ってるから。」



君が信じられないなら悪魔と制約でも交わして見せようか


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