御幸と付き合ったことを、彼にも報告するべきだろう。そう思い、一人彼に連絡を入れて待ち合わせのカフェに向かった。一応清楚な服装をしてカフェに入るとすでに彼はお店に来ていた。彼の席の向かい側に座ると店員が来て注文を聞くのでジャスミンティーをお願いする。かしこまりました。といって去っていく店員を見守り、彼と目を合わせた
「久しぶりだね、もな」
「うん、久しぶり。お仕事でもあんまり顔見なくなったから、ちょっと懐かしいな」
「ああ、いま父に新しくまかせてもらうところがあってね。そっちが忙しくて」
すごいわね。社内で僕急成長を遂げたって噂らしくて。いろいろ任せてもらってるんだ。ほんと急成長したと思うよ。私も、そんなふうに感じてた。はは。ありがとう。こんなふうになれたのはほんとに君のおかげだよ。そんなことないよ。もとからあなたの持ってるものよ。
簡単な前置きが終わって、本題に入ることにする。ちゃんと、はっきりと言わなきゃ。その思いだけが私をここに動かしていた。あの時、あなたに言われた言葉。あれのおかげで私はずっと背けてきたものと向かい合わなくてはいけなくなったの。私と彼の関係はとても曖昧なもので、はっきりさせれば変わっていく関係だった。それが怖かったの。そんな気持ちのまま、あなたに向き合ったこと、申し訳なく思ってる。あなたがなんと言おうとこれはほんとに失礼なことだった。でもあなたには感謝してるの。あなたのおかげでやっと私、変われたから。
ゴクリ。と息を呑む。この言葉を口にしていいのだろうか。言わずに過ごしたほうがいいんじゃないだろうか。何度も悩んだ。でも、言わなきゃいけない。あんな曖昧なことをしたままでいいわけないんだ。この人のためにも。
「私、御幸と付き合うことになったの」
「・・・・うん」
「まだちぐはぐな関係で、喧嘩だってするし。きっとこの先もっと大きな騒ぎを起こすと思う」
「・・うん」
「それでもわたし・・・・・っ彼のそばにいたい。ずっとずっと彼と一緒に生きていきたいっ・・・そう、思ったの」
だから、だからあなたの気持ちには応えれない。最後の別れの時でさえ、ずる賢い私はこの言葉を言わなかった。ごめんなさい。なんて口先だけで謝ってほんとに大事なことに全然気づいてなかった。ちゃんと正面からぶつかるって何度も思ってたはずなのに、何度も逃げてしまってた。でも、今はもう逃げない。逃げたいって思う自分のお尻に蹴りを入れてくれた人がいたから。歩きたくないっていったわたしの手を引いてくれる人が居るから。
・・・・僕はね。君がなんというおうとも君との過ごした時間は宝物なんだ。君が笑ってると癒されて、君が怒るとほんとに怖かった。でもいつだって君は正直で、嘘を言わない。嫌なことは嫌。そういう人だ。たしかに君はひとつだけ嘘を付いてた。僕だけじゃなくて、みんなに。自分にさえ。彼のことが好きだっていう気持ちを。いつまでも隠してた。けどね、ほんとは僕最初から知っていたよ。君を好きになった時からずっと。だから裏切られたとかそんな感情はないし、この結果に正直安心してる。君がまだフリーなんて言われたらそれこそこの先誰と付き合ってても諦めきれなかったよ。こうやってちゃんといいに来てくれてありがとう。これで僕だって前を見れるよ。
やっぱりこの人はとても素敵な人だ。そんな優しい事を言って全てを許してくれる。私のやったずるいこと全部、まるで綺麗なことのように言ってくれる
「ねぇ、僕たち友達してやっていけないかな?」
「え?」
「僕ね、まだ友達はいないんだ。だから一番目の友達になって欲しい。もななら断らないでしょ?僕に罪悪感まだ持ってるし」
わざとらしい悪役みたいな言い方にクスリと笑い。こちらこそどうぞよろしくといって握手した。


    僕と一緒にいる君より、彼と一緒にいる君の方が何十倍も輝いて見えたよ


もう友達に戻ろうか。(今度は親友になろう)


prev next

 

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -