さすがにこれはねぇんじゃねぇの倉持。次の日御幸は眉間にシワを寄せて俺を睨んでいた。身に覚えはあるな。どうせ昨日のことだろ。情報早すぎると思うがあんな興奮してたんだ。言っててもおかしくない。別に俺は親切でかしてやって説教しただけだよ。嬉々にほかの男の下着を履いたって言われたときの俺の気持ちがお前に分かるか。ざまぁねぇな。俺のは善意だけどお前のは悪意だ。アホか。俺のが善意でお前のが悪意だっつの。なんだよ突っかかってたもんがなくなってすっきりしたんじゃねぇのかよ?逆だよ逆!何も言われねぇから逆にどうしていいかわからなくなったんだよ。は?そりゃもなが言うわけねーじゃん。俺が初めて教えた時でさえ倉持が坊主って似合わない。とか言って笑ってたくらいだしな。俺もどうかんだけどよ。だからそんなに深く考えなくていいんだよ。あいつは馬鹿なんだから。
そうは言われてもやっぱり不安なまま今日も過ぎていく。そんな俺を見かねてか御幸がちょっとこい。といっていつもの居酒屋に連れてこられた。なんだよ。また説教か。俺がそう言うとまぁ、少し待ってろ。といわれ不思議に思いながらも黙ってると店の扉が勢いよく開いた。大きな音がして思わずそっちを見ると目を見開いたもながいる。そして俺と目があうとげんきじゃないのおバカァ。といって声を上げて半泣き状態で怒鳴った。は?状況がつかめなくて混乱してるとニヤニヤした御幸が遅かったな。なんていってもなを手招きする。どうやらこれはコイツの仕組んだことらしい
「倉持くんがっ・・・失恋してぼーずにしたって嘘じゃないの!もう、どれだけ心配したか」
「おいちょっと待て。お前どこ心配した?髪か?髪だろ」
「いやいや、しそうだったところを俺が引き止めてだなぁ」
「もう、どれだけ心配したと思ってるの!ていうか、倉持くんもそんなに悩む事があるなら少しくらい話してよ!ちゃんと聞くから!いつもくだらないことしか話してないから気付かなかった!」
いや、本人に言えるはずねーだろ。そんなん言えてたら今頃悩んでねーよ。なんて言えねぇ。驚きすぎていま思考回路停止してるからだ。髪の毛のことは思わず反応しちまったけど正直まだ状況がつかめてない。倉持のやつ、お前にプロ野球選手ってバレたこと悩んでんだよ。お、お前!へ?あれってバレちゃいけないことだったの?え?ごめん。ていうか御幸が教えたんじゃない!いや。別にバレちゃいけねーとかねぇんだけどよ。バレてお前の態度変わるんじゃねぇかって不安なわけ。倉持くんは純粋な子なんだわ。ピクリ。ともながその言葉には反応する。プロっつたら金持ってるだろ。しかもこいつレギュラーだしよ。そのおこぼれをお前が欲しがるんじゃねぇかってこと。御幸も言い方も大概だろ。本人前にして。その言葉を聞くともなは顔を歪めて俺を睨んだ。そして思いっきりほほに平手打ちをかまされた
「バカにしないでよ!別にあんたのおこぼれ貰わなくたってこっちだって社会人なんですからお金持ってるわよ!だいたいいつ私が奢ってなんか言った?ふざけないでよ!」
そう言うともなは帰る。といって種を巻き返す。一瞬ほうけたが俺は慌ててその背中を追いかけた。俺が追いかけていることに気づいたもなはゆっくりと振り返り泣きそうな顔をしながらも俺のことを睨みつける。
「そりゃ人間だし、お金が欲しいって思ってる。欲しいものだっていっぱいあるよ。でも、でも友達に奢ってもらったり、買ってもらったりしようなんて思わないよ!思ってないもん!そんなの・・・友達でも何でもないじゃんか!!」
その言葉がグサッと胸に突き刺さる。そうだよな。お前はそんなこと一度だって求めなかった。俺に媚び売ることだってしなかった。いいなって思うものがあっても勝手に自分で財布覗き込んで財布と相談してるとか馬鹿なこと言う奴だった。ほんと、俺馬鹿だよな。お前が、ほかのやつらといっしょのわけねーのに
「悪い。ひでぇ誤解しちまって。」
もっかい、やり直してくんね?友達。俺がそう言うともなはゆっくり近づいてきてほほ叩いてごめんなさい。と小さな声で謝った。それが仲直りの印



もみじもなみだ模様


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