あのあと、寝ちまったもなに布団をかけて窓のそばに座ってぼーっとしてた。あんな真面目な顔。初めて見たかもな。思い出してしまったのか酒の力か、少しだけ涙を流したもなはそのままゆっくり目を閉じた。それからずっとおれはもなの言ってたことばっか考えた。中学の頃、俺も似たような経験をした。どちらかといえばもなの言っていたあの子のような立場だ。仲間だと思ってたやつに裏切られた。そんときの俺にはあの子と言われたやつみたいにもなみたいなやつはいなくて、一人すねてた気がする。あの時、俺のそばにももなみたいなやつがいれば救われていたかもしれない。少なくとも俺はきっと、泣くほど嬉しいと思う。幼馴染のあいつ以外でもしあの頃の俺を理解してくれるやつがいたら。だから思う。きっとあの子って言われてたやつもきっともなっていう存在に救われてたはずだ。利益を求めず、ただ無邪気にそばにいてくれるもなのことを疎ましく思うはずがない。そこんとこ、教えてやるか。目が覚めたら。ずっと後悔し続けてるなんてそいつだって思ってないだろうし、望んでないだろ。
もなの携帯が震え、画面を覗くと御幸の文字。勝手に通話ボタンを押すと憎たらしいあいつの声が聞こえてきた。もなだと思い込んじまってる御幸に残念俺でした。なんて言うと萎えるわ。と言われる。そりゃこっちのせりふだっつの!つかお前、もなに自分の職業いってねーのかよ。は?前に話してるけど。は?俺がプロ野球選手なんて全く知らなかったらしいけどな。だから話したらかなり驚かれてでも俺の顔を見てあり得るか。とか言ってた。まぁ、お前のことは知らねーんじゃね?つか沢村のことも知らねーだろうし。そいつ、結構世間知らずなんだよ。興味ないって話じゃないレベルに。でもいつもお前の扱い雑だよな?ほんとに知ってんのか?俺がそう言うと急に御幸が笑い出す。お前、どうぜもなの態度が変わるんじゃって悩んでんだろ。なっ。図星だろ?俺も同じこと考えたわー。まぁ完全に杞憂だったけどな。かわんねぇんだよあいつ。どんな俺でも。・・・すげぇ情けないところを見せても。むしろ受け入れてくれるからさ。もう俺ほんとにメロメロなんの。とりあえずさ、悩むより行動にしたほうがお前はスッキリすると思うぜ?ない頭使うよりは。はっはっは。最後の余計な一言さえなければいいものを。ぶち斬りして着信履歴から御幸を消してやる。全部。そのまま携帯を机の上に置いた。言えたら、苦労してねーよ。
またもなが家に泊まりに来た。最初は沢村も一緒だったのに途中で呼び出しがあって出て行った。やっぱりもなは俺のことを意識することもなくいつもの様子で話している。じゃ、お風呂借りるね。洗濯機回しちゃっとくね。といって出て行った風呂場に行ったもなを見送って大きく息を吐く。携帯のバイブがなって画面を見るとクソメガネの文字が浮かぶ。一応通話ボタンを押すとやっほー初で可愛い倉持くん。なんてしょっぱなから言い出したので即効でぶち切ってやった。すると今度はメールが来てイラつきながらも内容を確認すると「話すのに戸惑ってるみたいだから優しい御幸くんが教えといてやったぜ。お礼は今度おごりでいいからな」なんてことが書かれていた。ちょっと待てよ?!どういうことだよ?!慌てて電話をかけるがあいつ拒否しやがった!!くそっ。焦っていると風呂場から倉持く―ん!とオレを呼ぶ声が聞こえる。どきっとしながらどうした?と聞くとあのさ、パンツない?は?いやー。ないならいいんだけど。ちょっと待て。お前、まさか忘れてきたのか。う、うん。さっきまで履いてたの使えばいいやとか思ってたら洗濯機に回しちゃってて。とりあえずすーすーするから何か欲しいなって。ないなら別にいいんだ。そのままショーパン履くから。おま、ちょっと待ってろ。家に女なんてコイツ以外連れ込んだことがない俺に女物の下着なんてあるはずもなく、仕方なく俺の未使用の下着を渡すことにした。脱衣所に入るから風呂場に戻れ。というとはーいとのんきな返事が聴こえてくる。とりあえず下着だけおいてすぐに脱衣所を出た。そしてリビングに戻りもなが出てくるのをまつ。入ってきた瞬間説教をしようと思っていたのにもなはバタバタと興奮気味で入ってきて倉持くん!すごいね!トランクス?って初めて履いたけどこんなのなんだ!なんてほざきやがる。すぐに蹴りを入れてどれだけ自分の発言が危険なことかを説教する。
「お前、俺だから何も起きずに済んだものを」
「そりゃ倉持くんだから素直に白状したんだよ?何もしないってわかってるし」
「分かんねぇだろ!男は好きでなくても女を抱けるんだからな?!」
「倉持くんも遊んでるもんね。あ、この間エロ本見つけたからベッドの上に置いといたけど気づいた?」
「お前かあれ!!って、だからな」
「御幸もね持ってたんだよ。この間見つけたら偉い慌ててたから中身見てやろうと思ったら破り捨てられちゃってさ。ひどいよねぇ」
「俺は今初めて御幸に同情した」
えー。とぶーたれるもなに今度はげんこつを落とした


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