再開したもなは俺のことを沢村をしめてた怖いやつ。って認識だった。だからか少し怯えたまま御幸の近くにずっといた。まぁそんなもんだろ。って別に期待もせずにとりあえず普通に挨拶するとなぜか途端にもなの態度は変わり、俺に普通に話しかけるようになる。何に安心したのかがさっぱりで正直戸惑った。相変わらず沢村には社会人で初の再開だっていうのに甘甘で、可愛がっていた。もなは慣れればとことん話す。いらないことまでなんでも。でもしっかり話も聞いてくれる。くだらないことも真剣に考えるからバカだなって思った。でも俺のくだらない話をそこまで真剣に聞いてくれたことに少なくとも好感を持った。
次あったのは確か御幸に用事があってばったり家で遭遇した時だった。御幸の家で。驚きながらももなは部屋に俺を招き入れ、御幸に倉持くんきたよ。と声をかける。なんだ、お前ら付き合ってんのかよ。先に言えよ。なんて当時全く事情を察してなかった俺がそういうともなが何言ってるの?と本気で首をかしげた。あー、誤解といとくから3人分の飯頼むわ。はーい。あ、倉持くんなにか嫌いなものある?え、あ、大丈夫。はいはい。じゃぁ、ちょっと待っててね。それだけ言うともなはキッチンに消えていく。その後御幸に自分が片思いであることと、もなとはいま友人関係であると聞いた。一緒に飯食って俺が仕事の話してる時は黙っててそれが終わると青道の話を聞きたがった。だから印象深かったこととか、俺の尊敬する先輩の話をすればどんどんもなは目を輝かす。楽しそうに俺のくだらない話を聞いていた。それに気をよくして俺はあの時なんでも話した気がする。御幸の失敗談とか自分の失敗談。亮さんとの出会い。酒まで飲んでいつの間にかすっかり打ち解けていた。
次たまたま駅であったときは向こうから声をかけてきた。すっかり警戒が解けたみたいでずっとニコニコ楽しそうに俺の話を聞く。二人きりになってもこの頃から全然気にならなくなってた。それからたまに駅で合うこともあって、そんなときは一緒に飯を食いに行った。沢村と約束してるっていうのを聞けば割り込みに行く。そんなあるとき一緒に飯を食ってる時に倉持選手ですか?と一般人に尋ねられた。そういや今日変装とかしてなかった。個室でもない場所だからそりゃ見つかる。どうやって切り抜けるかと考えていたら目の前に座っていたもなが倉持選手?と首をかしげる。その反応を見てそいつもあ、間違えました!すごく似てたんですいません。といってさっていく。いや、まっちがってねぇんだけど。なんていうことはなくとりあえずなんだったんだろうね。なんて能天気なことを言ってるもなに少しばかり感謝もあったがそれより何より。俺のこと、コイツわかってねぇのか?だからこの態度なのか。普通の人のような扱い。この調子だ御幸のことも知らねーんだろうな。言っちまったら、この関係も変わるのか・・・・。
倉持くん?きょとんとした顔をしているもなになんでもない。と返し飯を食うのを再開する。今までそんな奴ザラといた。けど、なんとなく。ほんとになんとなくだ。こいつとはこのままの関係でいたいな。なんてことを願っちまった。


小さな本気の願い


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