目の前で息を切らせている倉持の背中をさすりながら苦笑するしかなかった。この人どれだけ過保護なんだか。別に大丈夫だってば。そう何度もいったのにそれを信じずに家まで来て。どうやら栄純くんが倉持たちに私が璃那さんのこと聞いたのを言ったらしく、先ほど急に電話がかかってきて家までやってきた。もう、なんかこんなに心配されたら逆に自分の方が冷静になれるよ。御幸がどれだけ私のことを愛してくれてるかなんて身を持って知ってる。だから、大丈夫なんだよ。そう何度も言っても不安はもちろんある。そこに気づいた倉持は何を言っても家に来るといってきかなかった。まったく、どんだけシスコンなやつなんだ。お姉ちゃん照れちゃう。と茶化すと俺のが上だ。とまさかの乗ってきた。じゃぁお兄ちゃんご飯できてますよ。というと食う。というのですぐに準備した
「お前、大丈夫かよ。」
「だいじょうぶだよ。そりゃちょっとは不安になったけどここまで倉持にされて信じないわけ無いでしょ。倉持のことはかなり信用してるんだから」
「俺はいつもハラハラしてんだよ。いつお前らが騒ぎを起こすかって」
なんで?そんなに仲悪くないけどな。わたしと御幸。お前はともかく御幸は人の気持ち分かってないときがあるだろ。いつその発言にお前がきれたっておかしくねぇんだよ。・・・。確かに御幸はときどき率直に毒吐くよ。でもね、私はそれが間違いだなんて思ったことない。そりゃ傷つくし、悲しくなるし、凹んだりもするけどさ。そのおかげで今まで前向けてきたんだよね。だからだいじょうぶだよ。
「それにね、たぶん私と御幸って別れないと思うよ。これから先個人的な喧嘩とかでは」
「は?どっからそんな自信来るんだよ。つかぎゃくになんだったら別れるんだよ」
「・・・私より大事なものと天秤に図るとき、かな。」
「なんだそれ?」
「あとは御幸が記憶を失って私のことを忘れた時とか」
私がそう言うとそれはねぇな。と倉持が断言する。でもわからないじゃない。このご時世何があるかなんて。だとしても、もう一度御幸がお前を好きになる。どっからくるのその自信。ぎゃくになんでお前はそんなに自信ねぇんだよ。・・・御幸一也って男は気まぐれだからね。でもほんとに私のこと忘れてたらきっと御幸私のことすっごい敵視すると思うよ。そうか?だって目が覚めたら知らない人が自分の恋人です。とか言われるんだよ?私なら普通にあせるよ。ああ、確かに。こいつ頭沸いてんじゃね?くらい思うな。そんなもしもの話に盛り上がっているとバタバタと忙しない音が聞こえてくる。どうせあの人が帰ってきたんだろう。倉持からすでに話を聞いて、焦っているんだろう。でももう少し信用してくれてもいいと思う。私は確かに自虐的だし、不安にだってなるけどさ。それでも、それでも御幸から離れようってどう頑張ったって思えないんだよ。お前迎えに行ってやれよ。そうしようかな。おお。珍しいな。俺いるときに。いや、この方が絶対御幸いい反応するって。なるほど。盗み見しとくわ。御幸が暴走したら止めてね。エロいことはすんなよ。それは倉持の手腕次第じゃないかな。ヒャハハ。マジかよ。じゃ。行ってきます。なんていって立ち上がって玄関の扉の前で扉が空くのを待つ。開いた瞬間おかえりなさい。と笑を向ければ予想通り固まっている御幸がいた。ふふ。大成功。倉持大成功だよと後ろを振り返ってピースサインを見せると携帯を構えていた倉持が親指を立てた。


グッドとピースサインの攻防戦

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