突然入ったメールに俺は驚かずにはいられなかった。練習が終わってすぐに飛び出して家に向かう。鍵使って中に入ればリビングにはもなとあの人がいた。なんで、なんであんたがここに。その前に今さっき聞こえた言葉に少し焦りさえ感じた。こいつに変なこと吹き込むな。そう目で訴えれば璃那は驚いた顔をする。そりゃそうだろな。お前は知らなかっただろ。俺がぞっこんのこいつのこと。ずっといってなかったから。うまくいくまでお前にだけは言えなかった。俺の初恋のお前にだけは
璃那がうちに来た理由は俺が健康検診サボったから。確かに前言われてたんだけどすっかり忘れてた。おかげでこってり絞られてその上璃那ともなが打ち解けて仲良くなるっていうすげぇ複雑な状況。初恋の相手と現時点の好きな相手がなかよしこよしって。どこの漫画だよこれ。まぁ、もなは璃那と俺のことなんもしらねぇんだろうけどさ。だからこそ笑い会えてんのかな。嫉妬とかするのかな。
飯も食ってデザートまできっちり食した璃那を送るようにもなに頼まれて車を走らせる。次から事前連絡しろよ、璃那。今回は良かったもののもしもなにあらぬ誤解されたら困るから。あら、数日前もいったわよ。彼女と会ったし。聞いてないの?はぁ?!そういえば数日前もなが客人が来たとかなんとか言ってた。なんかちょっと困った顔をしてたから面倒な奴でも来たのかと思ってたけど、璃那のことだったのかよ。まぁ、璃那で良かったというべきか。
「御幸、ホントに好きな人見つけれたのね」
「お陰様でね。これでも結構前から片思いしてたんだけど」
「御幸が片思いって、面白いわね」
「一応お前にも片思いしてたんだけど」
俺がそう言うと璃那は少し頬を赤らめて黙る。その反応を分かった上で言ったんだけどね。やっぱあんた変わってない。不満そうな声にだろうな。と返すとますますすねてしまったのがわかった。でも少し安心したような顔になってるってことは、まだ気にしてくれてたってことか。俺のこと。
「あんたのこと振ったこと、何回かは後悔したことがあるのよ。これでも」
「哲さんと喧嘩した時とか?」
「それも確かにそうね。私、意外と御幸に頼る癖ついてたみたいでさ。結構あの後から気付かっされたんだよね」
「振った相手に相談なんてできねーしな。悪女じゃねぇし」
「イヤミのつもりかしら。そこまで性格悪くないわよわたし」
そう言いながら車の扉に肘をついて窓の外を見る。ちょうど赤信号になったのでブレーキを踏んで車を止めた。今だから言うけどさ、あのころ、ホントに一瞬だけ、あんたのこと好きになったことあるのよ。は?俺は今までにないほど間抜けな顔をしてるだろう。それは俺にも予想のできなかった言葉だった。信号。青になったわよ。え、あ、ああ。とりあえずアクセルを踏んで車を発信させる。・・・今の、マジ?大マジ。てかなんで今?あんたにちゃんと本命ができたから。じゃぁ璃那振られるじゃん。そう。振られにきたの。なんでまた。普通その恋を成熟させたくなるでしょ?あんたとわたし似てるとこあるでしょ。だからわかるんじゃない?自分の恋を成熟させるよりも、その人の幸せを願う気持ち。ああ、なるほど。
「なぁ、璃那」
「なに」
「お前今幸せか?」
俺の質問に璃那はくすりと笑う。そして彼女の次の言葉に俺は一粒の涙をこぼした。彼女の手についたきらりと光るシルバーリングがやけに眩しい


報われろ。過去の自分よ

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