目の前にやってきた御幸は悲しそうな顔をして私を見つめる。そんな顔をさせたのは私自身だ。そんな顔をさせたくないってずっと思ってきたはずなのに。間違えたから。でも、もう間違えない。ちゃんと言うんだ。自分の気持ちを
「調子のいい話だと思うけど、ちゃんと言いたいことが、聞いて欲しいことがあるの」
「うん」
「怒ってもいいし、馬鹿だって笑ってもいいからね」
私の言葉を聞くと御幸は困ったように笑って隣に座った。それから私はゆっくりと話した。御幸の最初の印象はいいものじゃなかった。自信家過ぎて嫌だなって正直思ってたの。でもね、たまに見せる悲しい顔とか見てたらほっておけなくなって。目で追うようになった。それから御幸が笑ってると嬉しかった。悲しい顔をしてると泣かないでって言いたかった。それもきっと最初は女性特有の母性本能だったと思う。でもね、だんだんとそれも変わっていったの。となりにいられることが嬉しかった。一緒に笑ってる日々が幸せだった。このまま、このままこの時間が変わらず続けばいいのにって思った。だからいきなり御幸に言われたことは、この関係を壊して変えてしまうから怖かった。逃げてしまった。
「でもね、ほんとは私っ・・・・」
好きだ。と言おうとした瞬間抱きしめられる。苦しいくらい強く抱きしめられる。御幸と名前を呼んでも返事はない。そっと背中に手を添えると御幸が震えていることに気がついた。
「すきです。間違えた始まり方をしたけど、本当に好きです。だから、付き合ってください」
御幸らしくないほど真面目な言い方に思わず涙がこぼれた。ああ、きっと彼なりにいろいろ考えてたんだと思う。たくさん傷つけてしまった。ごめんね。でもね、私もどうしようもなく・・・
「はい。よろこんで」
あなたのことが好きなんです。その気持ちに嘘偽りはない。だから傷つけたぶん私に癒させてください。さみしいと思うときはそばに居させてください。苦しいと思うときは頼ってください。うれしいと思うことは共有したいです。手を握り合える関係がいいです
はは。ほんと、もうだめかと思った。始まり方おかしいって自覚はあったし、そんな風に俺のこと見てくれねぇかもってすげぇ焦ってた。ごめんね。いいよ。お前がいてくれたらそれでいい。ずっと一緒にいて。倉持より俺を頼って。沢村より俺に好きって言って。それは無理。倉持のことこれからもいっぱい頼るよ。だって御幸を支えたいから。栄純くんに好きって言うよ。でもそれと御幸への気持ちは重みが全然違うから。そんな安売りするように言いたくない。でも、御幸が不安になる前にちゃんと伝えたい。それじゃだめ?そう聞くと御幸は困ったような照れたような顔をしてそんな言い方されてダメって言えるわけないだろ。といって私のことを抱きしめた。


ここに未熟な愛が形成した


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