休日一緒に野球の勉強をしようか。なんて誘いは正直嬉しくなかった。勉強なんてきらいだ。でもよくわからないけど断っちゃいけない気がして、とりあえず付きった。何を聞いてもわからない。試合のビデオを見てもわからない。頭を抱えるともなは勉強が苦手なんだね。といって彼は笑う。うう、仕方がないじゃないか。苦手なものは苦手なんだもん。
「そういえばプロってどうやってなるの?入団試験みたいなのがあるの?」
「え?もなってそこからなの?倉持選手たちと友人なんだよね」
「倉持とそんな話しないもん。私の愚痴とか、向こうの愚痴とか。共通の知り合いの話とか。」
「ほんとに、変わった人だね。」
「普通だから!なんで友達なのにそんな話しなきゃいけないの。みんなの普通がおかしいのよ」
むすっと拗ねると彼はくすくすと笑う。くそう。最近なんだか雰囲気まで変わってきてほだされちゃうんですけど。あんなに横暴だったのは誰だったのかって聞きたいくらいだ。方法は二つあってね。一つはドラフトなんだけど、ドラフトって知ってる?グラフと?ドラフトね。ドラフト会議っていって球団と選手の交渉する会議なんだけど。そこに日本全国の高校、または大学や社会人の球児の中から約70人が選ばれる。これはプロ確実。もう一つは入団テスト。各球団の入団テストに合格すればプロ入り。だけどほとんど受からない。狭き門って感じかな。どちらも受かったとしてもほとんどの人が早くに球団を辞めることになる。最後まで残り続けられるのはやっぱり1軍に入ってる人かな。ということは倉持たちって結構すごい人だってこと?結構じゃなくてかなりすごい人かな。・・・。全然そうは思えないのが不思議。なれかな。なれなのかな。友達ならそう言うのもあると思うよ。倉持選手のところの球団で言うなら御幸選手はすごいね。投手へのリード。カバー。相手への牽制も。ほんとに才能のある選手だ。どんな人間なのかとても気になるよ。きっと賢い人間なんだろうね。あいつは賢いんじゃなくてずる賢いもしくは意地悪な人間よ。え?もなは御幸選手ともあったことがあるの?いや、あなたもあったことあるじゃない。付き合いだした当初。へ?人が友達と遊んでる時に割り込んできたとき。え、あ、ああ!あの時一緒にいたのは彼だったのか!全然気付かなかった。まぁ、一応変装してるけどそんなにわからないものかな?そっか。彼があの時の人だったのか。なぜだかわからないけど彼はいきなり落ち込んでしまう。ど、どうしたの?と慌てて声をかけるといつもの笑顔でなんでもないよ。と言われる。ウソなのはわかってるけど聞いて欲しくないことなら聞けない。その代わりギュッと手を握った。
「あ、あのさ。こんなの言う権利ないと思うけどね。ムカついても仕方ないと思うけど言わせてね」
「うん?」
「始まり方は確かに変だったけど、でも、でもね、だんだんと変わっていくあなたのことは、嫌いじゃない。むしろ好きな方だと思う」
「そ、そっか・・・」
「うん。えっと、だからね。何かあったとき相談くらいして欲しいの。なんにも力にならないけど、話くらい聞くし。いざとなればこの拳で、なんてね」
最後は恥ずかしくなってごまかすように笑う。そしたら彼は少しだけ泣いて、ありがとう。と笑ってくれた。そんな顔を見るとホッとする気持ちと、罪悪感がでてくる。後輩君のときもだけど、どうして私はこうやって本気で好きになってくれる人を好きになれないんだろう。どうして人の気持ちって、こんなにもうまくいかないのだろうか


苦しいくらい君が好き

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