そういえば野球選手の倉持選手と沢村選手だよね。もなって案外すごい人と知り合いなんだね。あー、それは高校時代にいろいろあってな。おっかけとかはあり得なさそうですね。こいつが追っかけなんかしてた時は世界が滅ぶぞ。なんていう倉持と彼の意地悪な会話を聴きながら食べるご飯はなんとも切ない。純粋にまた私の武勇伝的な事を語ろうとし出す栄純くんは餌付けという方法で止めた。あ。そうだ沢村。今言っとけよ。倉持がそう言うと一瞬栄純くんはきょとんとしてなんのことかわからないといった顔をする。それに倉持がきれそうになると慌てて思い出してああ!と叫んだ。大きな声で思わず耳をふさいでしまう。うう、耳がちょっと痛い。どうしたの?と聞くともなさん!と彼は席を立ち上がって机をバンっと両手で叩いた。俺球団の一軍にあがることが決まったんっすよ。そうなんだ。それで倉持先輩とか御幸と一緒なんっすよ!え?!ほんとに?!ホントです!鼻高々にする栄純くんをギュッと頭だけ抱きしめる。仲良しだからみんな一緒になれたらいいな。ってずっと思ってたんだよね。それで、今月の月末に俺の移動して初めての試合あるんで見に来てくれませんか?と聞かれ思わず即答で行く。と言いそうになったけどそれはできない。だって今月は最後まで彼と一緒にいるって約束を既にしてるから。あー、と悩んでいると栄純くんが倉持先輩の唯一カッコいいところも見れるかもしれませんよ!と言われた。もちろん倉持はその言葉を聞いて栄純くんに怒っている。なんて断ろうかと悩んでいると今度は御幸のことを出される。あの人性格は最悪ですけどでもすっごいバッテリーとしては尊敬できるっていうか。いや、でも腹立つんですけどね。なんてよくわからないことを言い出す栄純くんに思わず笑ってしまう。だって想像できてしまうんだもの。
「月末の大会だよね。」
「へ?」
「あ、はい。そうっすけど」
「ちょっと待ってね」
そういって彼はいそいそと携帯を取り出して何かをするとすぐに携帯をしまって顔を上げる。そしてしっかりと私のほうを見てニコッと笑った、行こっか。へ?彼の試合。一緒に見に行こうか。突然なんで。と言おうとすると栄純くんの喜びの声に消されてしまう。そんなに喜ばれるともう取り消しなんてできない。でもなんで・・・。だって、この前最後の日はもうすでに予約してある場所があるって・・・。私がちらりと彼を見ると彼はそっと私のほほに手を添えて横髪を軽く触って不器用な微笑みを見せた。口パクですきだよ。と言われまたも赤面してしまうので慌てて顔を背けて俯く。もう、なんでそういうこと今するの!余裕そうな顔に腹が立って思いっきり足を踏みつけたのに彼は嬉しそうに笑うだけだった。マゾなのかと一瞬思ったけど何か違う。なんだろう。ほんとに彼は随分と変わったようだ。なんだか嬉しいけど、少しさみしいかも知れない。あれだよね。男の子ってすごい速さで成長するときはするって言うもんね。
「倉持は成長できなかったのね」
「よくわかんねーけど覚悟できてんだろなもな」


まだ成長過程だけど

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