いつももなが行ってるお店に行ってみたいな。お坊ちゃんの発言に目が点になる。いやいや、あんな高級なところ言ってる人連れていけるようなところいってませんよ私。普段から安さ重視だもん。えっと。と困っているとそうだよね。迷惑だよね。気持ちわるいよね。と自虐的に言われて慌てて了承してしまった。そしてそれは案外狙っていたものだという。こんないい子そうな人がそんなことするなんて怖いわ。疑心暗鬼になるって。ほんとにろくなところじゃないからね。といっても彼は大丈夫とだけ言ってずっと後ろをついてくる。なんとなくそれには罪悪感が沸く。ねぇ。なに?普通にとなりあるかないの?え、いや、えっと・・・。どうしたの?えっと・・・。そのさ。やっぱり無理やり彼女になってもらってるし、外ではそういうのいやかなって。見られたくないんじゃないかなって。寂しそうな顔でそんなことを言われるとこっちまで悲しくなってくる。こんなに好きになってくれてるんだ。嬉しいとは思うし、不覚にもときめいたよ。でも、答えれるわけじゃないの。だって・・・。ううん。でも今私の彼氏は間違いなく彼だ。気持ちには応えられないなんて言い訳しないでわたしもいい加減ちゃんと向き合わないと。精一杯努力してから応えられないなら仕方ないけど、そうじゃなくて決めつけだったら失礼だもん。ん。といって手を出すと彼は驚いた顔をして私を見る。カレシさんと手がつなぎたいな。恥ずかしくてなんだか変な話し方になっちゃったけど彼はほんとに嬉しそうに笑うもんだからやって良かったと思える。よし。今日は最近言ってない方の居酒屋さん行こう!
「嫌いな食べ物とかってある?」
「得にはないよ。あ、ゴーヤは苦手」
「ふふ。案外子供っぽいところあるのね」
「もなは?」
「私は好き嫌いしない主義よ!嫌いなものでも食べる!でもタコはだめ。嫌いじゃなくて体が受け付けないレベル。食べるとなんでか吐き出してしまうんだよね。」
「それは好き嫌いしない主義じゃないんじゃないかな。そんなにタコダメなんだ」
くすくすと笑う彼を見ていると少し安心した。よかった。なんて思ったのも束の間。居酒屋に行くとまさかの倉持がいた。唖然としているとあー!と後ろから騒がれる。驚いて振り返ればそこにいたのは栄純くんだった。い、一番見られたくない人だったかも。もなさんいつのまに彼氏が?!騒ぎ始める栄純くんをどう静まらせようか悩んでいると倉持が栄純くんのお尻にタイキックをかました。い、痛い!あれほんとに痛いのだ!思わず自分のお尻を抑えてしまう。彼まで同じことをしてたからついつい笑ってしまった。結局一緒にご飯を食べることになって倉持と栄純くんに向き合うように座った。自己紹介をして適当に注文したものを食べ始める。一つ一つに彼は感動したような顔をしてこれはなんだと私に聞いてきた。それに対抗するように栄純くんがいろいろ聞いてくるのでおかしくなってついつい笑ってしまう。栄純くんからしたら姉を取られる心境でもなっているのだろうか。くすくすと笑っていると倉持と目が合いすぐにそらされた。あれ?もしかしてなんか怒ってるのかな?不安になっているともう一度目が合って思いっきりデコピンされた。いつからもなさんと付き合ってるんですか?といきなり爆弾を投下する栄純くんに倉持と揃って固まってしまう。だけどそんな私とは反対に彼はいたって冷静に僕の片思いだよ。といった。え。と驚いていると彼は困ったように笑って私の手に自分の手を絡めていく。今は少しチャンスをもらってるだけ。だからまだ付き合ってるなんて人には言えるような関係じゃないかな。あまりに優しく。でもちゃんとしっかりと繋がられる手を見て思わず赤面してしまう。あわあわと慌てていると彼にね?と優しい笑みを向けられて思わずこくりと頷いてしまった。ああ、これほんとに恥ずかしい


赤い恋人リボン

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