もなが、わからなくなった。いつものように一緒に飯食ってると突然、彼氏できた。なんて言われた。衝撃的すぎて思わず思考回路停止。息することすら忘れた。仕事の関係で出会った人なんだけど、気が合うからいいかなって。お付き合いしてみることになったの。その言葉で彼氏が御幸じゃないのはわかった。だからこそ余計に理解ができなかった。ただ最初に聞けたのはそいつのこと好きなのか?だった。その質問はもなも予想外だったらしく少し驚いたように目を見開く。そして小さく頷いて。そうよ。と返す。嘘だろ・・・。お前が好きなのは、だって・・・。御幸もちゃんと知ってる。ちゃんと健全なお付き合いよ。そういう問題じゃねぇだろ。じゃぁ、何が問題なの?というか、私が誰と付き合おうと勝手じゃない!突然もなが大きな声でそう叫ぶ。これはその声を聞いてはっと我に返る。今のもながどれほど不安定な状態になっているのかやっと気づけた。今日あってから一度もいつものような笑みを見てない。何があったんだよ。俺がそう聞くともなは苦しそうな声で息が苦しい。とだけ言ってぼろぼろと泣き出した。脅されてんのか?と聞けば首を横にフラれる。だったらなんなんだよ。訳分かんねぇ。けど、こいつはこいつで何かに悩んでんだよな。普段ぽやっとしてるからわかりにくいけど、なんでも深く考えるやつだしな。ごめんね。ごめん。なんどもなんどももなは謝る。俺や御幸の名前を呼んで。そしてしばらく泣くと泣きつかれてかすぅっとゆっくりと眠りだした。ったく、どんだけ一人で抱え込んでんだよ馬鹿。
「もっと頼れよ。ダチだろ」
額をこついて残りの飯を食って会計を済ませると座らせたままのもなを背負って店を出る。家に帰るか。いや、御幸とも少し話をするべきか。そのままマンションまでタクシーに乗って行って家の前に着くとインターホンを押した。そのまま勢いよく空いた扉から焦った顔の御幸が出てくる。そして俺の顔を見ると大きくため息をついた。おい、こいつだって一緒だぞ。そういって背中に乗ってるもなを見せると御幸は驚いた顔をして固まった。はいれ。そう言って道を開けられれば素直に俺も家に上がり込む。寝室にとりあえずもなを寝かせてリビングで今日あった出来事を話した。それを聴くと御幸も難しそうな顔をして悩み出す。なんとなくだけど、もなが無理やりしてるわけじゃねぇってのはわかった。けど、何かを悩んでるのは明らかだ。御幸。寝室に戻るとベッドに寝かされているもながそうあいつを呼ぶ。御幸は困った顔をしてそっともなの手を握り、ここにいるぞ。と声をかける。そしたら少しだけもなの表情が優しくなった。
「とりあえず今は深く聞かねぇでこいつが言い出すの待っててやるべきだと俺は思う」
「たしかに、そうだな・・・。こんなふうになってるとこなんて初めて俺も見たし」
たしかにもながこんなふうに人に当たるようなことは少ない。女のあれが近い時はしょっちゅう切れたりもするがそんなんじゃねぇしな。それに、あんなふうに泣き出すことでさえそうそうない。俺が無理やり履かせたんじゃなくて、自分から苦しいって言い出すのだって・・・・。御幸にはああいったが心配は心配だ。一応もなのまわりのことを調べるか。俺は寝てるもなの頭を軽く撫でる。お前にいってなかったんだけどよ。なんだ?もな、彼氏ができたんだと。それは聞いた。俺、その彼氏にあったんだよ。は?驚きのあまり一瞬その単純な言葉を理解することすらできなかった。もなに、彼氏ができた。そしてそいつと御幸があった。じゃぁ悩みってそれじじゃねぇか!見られたくなかったんだろこいつ!と言うとたぶんな。と返される。なんでわかってんのに何もしねぇんだよ。調べたんだよ。相手が誰で、どうなってそうなったのか。そしたら相手はもなの仕事先の重要な取引先の一人息子で、そいつがもなを気に入ったんだと。は?んだよそれ!知るかよ!でも、そうなるとこっちから口出しもしにくいんだよ。もなは、友達とかにも俺のこと話してねぇし。話したくないみてぇだし。むすっと拗ねる御幸をみて不謹慎にも笑いそうになった。あの余裕の顔ばっかりのあいつがこんな顔すんのかよ。何笑ってんだよ。いや、お前もそんな顔すんだな。野球以外で。は?余裕なんてないって顔だよ。俺がそう言うと御幸は当たり前だろ。と即答する。たしかにもな相手に余裕ぶったことなんて言えねぇよな。全然つかめねぇやつ。予想の斜め上を行くような奴。んでも、何もしないっていうのも嫌だしな。もなが頼ってくれたらなんだってできんのによ。それをしないからもななんだろ。もなは人に頼ることが苦手だ。おそらくだが、怖いんだろうな。人に頼って重荷になるのも、迷惑をかけるのも。それはきっと嫌われたくないと思っているから。
「とりあえずしばらくもなになんか言われても軽く流してやっといてくんね?こいつ深く考えすぎてるからさ」
「お前に言われなくてもわかってるつーの。つかここまで運んでやったんだからコイツの飯くらい食ってから帰んぞ」
そうじゃなきゃ割に合わねぇよ。なんて言うとお前も大概もなに甘いよな。と言われうるせぇと言い返した

ホントのこと言って

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