君今日から僕の彼女でいいよ。最初この言葉が本気で理解できなかった。普通に考えればそんなバカなことイケメンが言おうと「は?」と言い返すけどそうもいかない。相手はこちらに資金をいつもくれているお金持ちの一人息子らしい。おかげで根性が腐ってる。なんて言わないけど思ってはいる。丁重にお断りさせていただきます。笑顔でそう断っただけ偉いと思いたい。
店長にちょっといろいろ言われながら家に帰宅した。今日は遅くなったので御幸の方が先に帰っていた。ただいま。と返すとおかえり。遅かったな。と返ってくる。手を洗ってうがいをするとリビングにいって御幸の上に倒れ込んだ。疲れた。そうつぶやけばぎゅっと抱きしめられる。抱きしめられるってこんなに安心するものだっけ。なんかあった?と聞かれて大したものはないよ。と返すと無理すんなよ。と言われた。無理なんてしてない。一生懸命仕事をしているだけだ。今までにない仕事だけどこれだって会社のためだと思えば別にどうってことない。一ヶ月くらい頑張ればなんとかなる。この仕事が終わったらある程度のことは何でもないことに思えるかも知れない。それくらい私にはこの仕事は疲れる仕事だった。でも会社のためだし、自分のためだし、だから、頑張れ。
今までにこんなに仕事が嫌だと思ったことはあるだろうか。いや、ないだろう。確かに社会人になったばかりは不安ばかりで働くということも辛かった。けどここまでではなかったと思う。もなの作るご飯は美味しいね。さすが僕の彼女。あれからこの教室の生徒となり、私の教える相手ともなった男。古都乃財閥の御曹司さん。ルックスは普通。王道のポッチャリ坊ちゃんではないけれど、だからといって秀でたところは何もなかった。強いて言うなら口が達者というところか。無駄に自信家であるというところだろうか。イラっとすることが多くても私もいい大人だから何も言わない。そのせいで図分と調子に乗ったようで段々と疲れてきた。これは善し悪しすらも私が教えなければいけないのだろうか
もなはさ、いつも一人で頑張るよな。俺結構それ辛いんだけど。なんて言われたけどそんなの御幸も同じじゃないか。いざ何かあったとき、絶対にあなただって私に何も言わないよ。いっぱい私は傷ついて、泣いて、諦めて。でもきっとあなたのこと信じ続けると思う。馬鹿だらかね。私。私がそう言うと御幸は困ったように笑って優しくキスをする。まるで恋人同士が慈しむようなキス。でもそんなものじゃない。これはお互いの穴を埋めるだけのもの。わかってる。ちゃんとわかってるよ。ここに愛はない。いい加減わたしもちゃんといい人探さないと。だからこんな面倒なことになっちゃったんだ。週末飯食いに行くか。うまいフレンチ見つけたんだよ。えー、そんなお金に余裕ない。じゃぁ俺のおごり。絶対やだ。ならその分ご奉仕してくれたらいいって。夜の営みで。なんて嬉しそうな顔をしてるんだこの人。私そっちのほうはうといって言ってるからなにしていいかなんてわからないのに。なにして欲しいの?と聞けばコスプレと即答された。思わずは?と聞き返してしまう。だからコスプレともう一度言われても困るんだけど。何言ってんの?と言えばまた同じ言葉を繰り返された。コスプレってあのコスプレ?無理無理!なんのコスプレさせるかわからないけど絶対やだ!!ナースとかでもいいけどなんかもっとエロいほうがいいんだよな。俺的に刺激が欲しい。私に飽きたならよそでやってきて!変な刺激求めないで!無理だって。俺もなじゃねぇと発情しねぇもん。するって!大丈夫まだ使い物になるから。分かんねぇから確かめてみるわ。あ、やっぱ使い物になんない。だから確かめる必要ないよ。じゃぁ尚の事なおさねぇと。俺みたいなのが使い物になんなくなったら世の女が悲しむだろ?主に女子アナがね。あとアイドルとかモデルとか。だから私関係ない!離して!おうおう。そんなに早くベッドに行きたいなら言ってくれればいいのに。お連れ致しますよ、お姫様。いーやー!!人の話聞いてー!!そのあとなんだかんだで御幸のペースになるのがいつものことだった。その当たり前が壊れ出すまで、あと少し



時計のガラスが割れて

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